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シンカラス  作者: 白木克之
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決別 12名の戦士達

「外は放っておけ。いずれ第2、第3実動班が組織されるにしても、数々の難問を解決しなきゃいけない。通路構築にしても、あれからぴたっと止まった。つまり、俺達が鹿網を仕掛けた周囲、或いはその円周距離内に、この遺跡があると言う根拠があるからかも知れない。つまり、肝心の遺跡通路を塞いでしまっては、ここを未来永劫発見なんて出来ないからな」

「ふむ・・シン君の考えは、一理もニ理もある話だな」


 エライ班長も唸った。なら、シン達が受けた同じカリキュラムを、続く後輩達が受けては居るだろうが、ここまで実動班が組織されて来るまでには、相当の時間も掛かるだろう。メンバーは、交代で山切りの木の上で、監視を交代でする事にした。大葉は本当に役立った。雨の侵入を防げる防水の傘になったからだ。乾燥しても水を弾く繊維質だった。鹿捕獲網は既に修復完了されていた。今度は、簡単にオオコウモリに噛み切られように、ヤマイの言う抽出液も縫ってあるし、大葉も集めて来て、周辺に植えたのだ。大葉はここでも大活躍だ。簡単に挿し木で増えるし、成長速度も非常に早かった。肥沃な大地で無くても、痩せた土地に育つ植物だ。光合成によって栄養を自確保出来るようだし、これの葉が落ちれば、大地の栄養になる。自然には天然の鉱物やファイトケミカル等がふんだんにあって、それをこの植物はとりいれているようだ。こうなると規則的に植えられた山切りの木も、十分に森林の役目を果たしていて、適度な光を供給しているのだ。強烈な紫外線などを防いでいるのである。ただし、今は雨季。それでも時折射す日差しによって、光合成は行われ、自ら土中に放出した栄養分を吸い上げ、リサイクルをしているのである。そう言う事は、カイが非常に詳しかったし、他にもランやケンなどもその辺の知識が深かった。本当に便りになるメンバー達なのだ。

 これで後2週間もすると雨季とも相まって、網自体の迷彩も施せるし、この偽山切りの木を発見し、まさかの穴が開いている事を見つけ出すのも困難だろう。そこは、彼らが工夫し、更にこれを偽装した。そして、意外にもオオコウモリの翼が、腐る寸前に出る油が使えると言う事で、相当量それを使う事にしたのだった。

 リンが、にやっとしながら言う。


「こうして見ると、オオコウモリがおっかない、危険な生物だと思っていたが、肉は食えるし、翼は油に使えるし、非常に便利な生き物に見えて来た。数も無数に居るしなあ」

「あほ言えや、リン。あはははは」


 豪快にショウが笑った。食糧も十分にあるし、何しろ雨季が彼らの味方をした。オオコウモリが襲う気配が無くなったのだ。雨季にはおそらくこの餌場から移動したのでは無いかと予測されていた。徐々に周辺には、鹿、猪、ウサギなどの動物が見られるようになった。犬系の動物は今の所不思議と見かけなかった。野犬等も危険な動物の一種なのだが、周辺では一匹も見えなかった。猫も狸もキツネもだが、こう言う自然で過ごした事の無い彼らには、その事が特に不思議とも思わなかったのである。何かオオコウモリに共通する臭覚的な植物が、その動物達を遠ざけているのかも知れないなと。結論はそこに落ち着いたのだった。

 その間、油作り作業は完了し、一歩一歩石段を降りて行く探索が始まっていた。地下約10M下ると、平坦な通路に出た。それも石造りのやはり遺跡を思わせる半円柱状のトンネル?のようなものだった。そこへ一気に進む事は無い。油を入れる為に柔らかい滑石と言う鉱物が結構周辺にはあって、それを削って壺にした。この知識はエライ首班が博士号を取得しているのだとか、またヤマイもその辺の知識が高いようだ。そこは手先の器用なヤマイ、マコト副長達がせっせと作っている。順番に灯りが連続するように置いて行く作業が進行中で、設置した先に又進むと言った塩梅あんばいである。所々には切れた油を足せるように、これも大葉が結構役に立った。水分を弾き、しっかりと何重にも重ねれば、容器になるからだ。

 そして、交代しながらやはり通路の先に進んで行く。空気はどこからか入って来ているようで、酸欠になる事は無かったし、方向的にドームとは逆に向っている事も磁石で分かる。


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