第15章 恐るべき計画
「終わったか・・測定完了だけど、何をびっくりした顔をしているんだい?」
リンが聞く。
「凄い音域をお持ちだと思いましたが、低音域も可能で、下が80Hz・・上がまだ発音の度合いにも・例えばサ行であるとか特定の音であれば、5000Hzを軽く超えて居られるんですね。既に録音しましたので、リン班長には声を発して頂く必要はなくなりました」
「おいおい・・何だよ、それ」
リンの眼が点になり、苦笑した。
「録音しましたから、これを周囲防音のケースに入れて、この音域をテスト出来るからです。一緒に見ましょう」
「あ・うん」
アマンは、全ての言動においてそつが無く、そして具体的であった。シンが深く信頼の念を置いている事が良く分かる。
彼女は備え付けてある機器は、各基地がほぼ同じ物である事を承知しているので、それは実にスムーズな作業でリンに見せている。
「鉱物の振動によるオングストローム実験は、すでにどの領域までが変化するのか、データは取ってありますので、データベースから取り出す事は可能です。見られますか?」
「いや・・それは恐らく君が、シークレットキーを持っているんだろう、俺は遠慮しておくよ」
「では・・純粋なリン班長の音域よるテストを、今から、一音ずつ開始いたします。変化があれば、そこでチェックを致します」
「あ・・質問。その場合、変異は開始されないのかい?」
「はい。変化があると言う事と変異を開始すると言う事は直接的では無いのです。それは複数の刺激を同時に与える事になります。その場合の刺激は、もう一定の物質だけと言う結論が出ています」
「成程・・確かにここでテストをやれる事では無いわな」
「はい、ここで重要なのは、変化するかどうかのテストなので」
「うん、分かった」
こうしてテストする中で、再びアマンが驚いた事にリンの声音と言うかその音量自体が、この細胞に何等かの刺激を与えると言う事であった。アマンは、
「私は・・今想定外の現象を見てただただ驚きを隠せないでいます。リン班長の音域全てに細胞は反応すると言う事が今分かった所です」
「え・・」
驚くリンにアマンは、
「大変申し訳無いのですが、リン班長と特別コンタクトが取れるでしょうか?」
「あ・・それは構わないけどさ」
きょとんとするリンだった。




