決別 12名の戦士達
「穴が開いているっ!」
その石板の下には空洞があったのだ。全員が少し興奮気味にその石板周辺に集まった。
ケンが、
「縄を石板の周囲にぐるっと縛ってくれ。頑丈にだぞ、何重にも縄を縛れ、そして反対側に残り8人で引っ張るんだ」
こうなると、もう上も下も階級なんて関係無かった。石板を完全にその空洞から剥がす為に力を合わせた。
「よいしょ!よいしょ!」
再び掛け声が上がる。どどーーーーん・・石板は完全に穴から剥がれて持ち上げられ、表と裏が逆になったのだ。そこに穴がぽっかりと口を開ける。
「おおっ!やったぞ・・空洞が続いている・・やはり何かのここは通路だったようだ」
その空洞はずっと下に続いているが、暗くて見えない。カイが蝋燭を持って来る。
「ずっと下に石段が続いている。何かのやっぱり遺跡なのかな?」
「ううむ・・このまま探索したい所だが、この事は絶対他に漏らしたら駄目だ。もしかしたら、これを探す為に俺達が実動をさせられていたのかも知れないな、まあ、そこは考え過ぎかも知れないけどさ」
「まあ・・その辺は置いとこう、今考えても仕方が無いしね」
シンが冷静な口調で言うと、こちらも冷静なカンジが、
「中は、酸素不足に陥っている可能性もある、また暗くて危険だ。何があるのかも検討もつかないからな、いきなり入る事はNGだろう、準備が必要だ」
これを見つけて、入らないと言う選択肢は勿論無い。
「大きめの蝋燭を急遽作ろうと思う」
カイが言う。
「いや・・それよりも油があったよな。植物性の油を利用しよう。その方がずっと長持ちする。火が消えない限り、酸素が供給されている事になる」
彼らは、既に色んな事を思い巡らせているようだ。もはや、外は雨季だ。野外で動くには非常に辛い事だし、その為に更に危険な眼に遭う可能性も生じる。それは愚策だった。なので、ここを探索する事が彼らの主目的になったのである。まさしく彼らは何かに繋がる一歩を、この時発見したのだった。シンがここで言う。まるで殆どリーダー的役割を担っているかのようだった。




