第15章 恐るべき計画
「俺は、アマン主査が今その特務班の指名を受けて研究しているのを、なるだけ口に出さないようにして来た。ここ最近になって、やはりこの中に異分野MIXによりその全く違う視点でかなり進展して来た事も分っている。だが、それは俺がこれまでの慣例通りと言うか、お前達も良く分かっているように、特務任務と言う分野には触らないのが原則だ。それを首班がある程度オープンにしようとしている。和良司令官の例も出たが、結局何かを隠している。或いは表に出ない者は、特殊任務に居ると言う事だ。今の流れによって分る事は、やっぱり繋がっているんだと言う事さ。それを口に出そうかどうかと俺は考えていた。つまり、この場でオープンになっても構わないと言う理解で間違っていないんだよな?首班」
「そうさ。俺は全く秘匿なんぞをしてはいないし、この時代、現状をお前達も、もう一度良く考えろ。ばらばらに言うから、全くまとまらないんだよ。今はキョウ、ここにアマン主査も出席させていない。だが、これだけ言ったんだ。もうどこまで進んでいるかは分ったよな?」
「ああ・・俺は首班の真意を測りかねていた。だが、公にするって言うのは絶対的な信頼があるからこそこのメンバーなんだな、それは俺も分っているからこそ、強く言いたい。もうお前達程の優秀な者ならば、今の流れで分っただろうし、副首班が何故A国を重視、ランも月及び今A国のシェルター内の機器分析をしているのかも、また黒川主査、アマン主査、生体プリンタ、対馬海洋研究所、T新人類、全てはこのM国探査に見事に関連して来る。でも、全てじゃない。俺達はほんの一部の事を今知ったに過ぎないんだ。その上でリンの調査した事、又自分の分析に基づいた話も加味して見るならば、この特務研究の300年の成果がここにある。ズバリ、これこそあらゆる組織細胞、脳までも培養出来る万能細胞だ。しかも、人類滅亡を食い止める最後の希望なのだと俺は見た。故に、T新人類は危険だ、*隔離すべきだと俺は今強く言う」
「ええっつ!」
*シンはそこまで踏み込んでいたから、もうT国森林に開放したのだ。秘密裡に・・
驚くべき言葉だ。キョウの真根はやっぱり隠密班の一員であったし、普段は控えめだ。余程の事が無い限り、俺が、俺がと言うコウタのように表には出ない。シンは、会議では個人を攻撃する事もあるが、これは意識してでは無く無意識にその者のポテンシャルを引き出しているのだ。ここに居るメンバーは、リンは一端除外したとしても、誰もが首班を担える人材なのである。シンは何時でも自分にとって代われる者達を、知らずに叱咤激励しながらその能力を引き出しているのかも知れない。
「今データを見せて貰った結果において、これは危険だ。その細胞がアマン主査が最近になって可能にしたやり方と違うからだ。俺は、やはり身震いしそうだよ。こんな切り込み方も、やはり超天才と言う者はやるんだと思ってさ。補佐・・お前こそこの遺伝子学では第一人者では無かったのかよ?さっき主題とずれた質問をして首班に否定されてむっとしていたけどよ?お前も特務班に名を連ねているんだろうが?そして、このリンは別として5人を集めたのも、この国後に集合させたのも、同じテーマがここにあったからだ」




