決別 12名の戦士達
短く答えたもうヤマイは、ドームに戻る気は無いようだ。それより、この不可思議領域の一端を少しでも探りたいと言う研究好奇心の方が、勝っているようだ。それは恐らく全員がそうなのだろう。何かイキイキとさえしている顔に見えた。ヤマイのもう一つの道具とは、組み立て式のスコップだった。何でこんなものがあるのかと言えば、やはり、何かを発掘する、掘ると言う事がメイン?いや・・違った。生物班だからこそ、木の根元を掘る、植物を採取するそれが本来の目的だったようだ。まさか、こんな事まで予測出来る筈も無かっただろうし。それにはシンも少し苦笑い。ヤマイの背中をぽんぽんと叩いた。もう仲間だった。全員がこれで揃ったのだ。必然的に・・。
スコップは有効だった。少しずつ気になった石周辺を掘って見る。シンが気になった点は、割と規則正しく敷き詰められている石の配置が、この1メートル四方、正方形型に隙間が少しあって、石の事は良く分からないが、何か違うと感じたのだ。灯りがあるとは言え薄暗い偽山切りの木の中だ。十分にはその微妙な違いが分からない。しかし、新たに蝋燭も作られ、明るくなって優秀な彼らの知恵の総動員で、行動が開始されたのだった。
「お!」
石をどけて、1メートル四方には、やはり何かありそうな気配がして来た。
「何か土質が変わった見たいですね」
「うん、何か違うよな・・もう少し掘って見ようか」
ケンが頼りになる。その膂力で結構大きかった石を殆ど一人でどかして、隅にそれは積まれた。きちんと形を整えられた正方形の石だった。30センチ角で、高さが15センチ程だろうか、石の下にまた同じように石が積まれてあるような感じだった。その石の下には、泥が充填しており、又石が出現すると言うのを繰り返し、8段目・・約1メートル程掘り進んだ時の事であった。
そこの土を30センチの厚みで除くと、一枚の直径にして石版が正確に90センチ、掘った周囲が1.2Mだった、約これも80センチ角の一枚の大きな石板らしきものが見えたのである。
それを見ながら、
「何かの蓋見たいっすね、おいケン、幾らお前が力持ちでもさ、ここでランが持って来た工具がある。サテンとウテンが切って来た木を利用しようぜ」
シンが言う。こう言う事と言うか、この所殆どがシンの提案通りに動いているのだ。むしろ、シンがこの野外活動の中で一番順応しているように思えた。つまり言う所のサバイバル術と言うやつだ。それに長けているのは、ここまでの行動で良く分かっている。
ランが持って来た、所謂バールである。それをその板に差し込み、木をテコにして石板を持ちあげるのだ。
「よいしょ!よいしょ!」
5人掛かりで、その石板は片面が持ち上がった。
「よし、持ち上がった部分の下に、この石板が落ちて来ないように、隅に置いてある、先の石を今掘った穴の周囲に積み上げろ」
少しずつ石板は上がって来る。落ちて来ないように、少しずつ石を積み上げて行く。約50センチ程度持ち上がった時だった。ウテンが声を出した。