第15章 恐るべき計画
「静電気発電・・リン班長。それは凄い発想です。生物リサイクル・・食性の話はつい先日もM国地下空間内でその関連の話をしましたが、つまり灯りについても、今は無線ケーブルで点灯も可能ですが、もともとあの空間には存在した。それがイリジウム等の音波振動発光だと言われています。だが、その発信元はどこだと言う解明は成されていません。つまり、蜂が何らかの作用をし、発電効果を生むと言う事でしょうか」
「おい・・リン、お前は色んな知識も豊富だ。だが、余りひけらかす事も無く今までその手の話もしなかったよな?でも、すげえ事を言っているぞ、それは」
キョウの眼もくりくりとする。ダンが、
「いや、リンは植物学、肥料にも詳しい、細菌の分解を利用した発熱効果の事も言った事があった。つまり、あの空間の温度が22度と、地下空間であるのに高いのは、それが関連していると言うのか?」
「ああ・・発酵熱は、あれだけの蜂群だ、それもまだ他にも巣があるだろう事も言われているが、あの通路だけでも500万匹は居ただろうと推定されている。今300万匹以上のサンプルを、ショウが何であんなにご丁寧なケース保存の陳列をやったかについても、中には趣味だろうがと揶揄する者も居た位だ。だが、生体プリンタで全て採集した原型を留める個体には、識別レーザースポットと言うもので、マーキングをした。この*レーザーポイントについては、恐らくまた後からそんな関連の話も出て来ると思うが、何も昆虫や小動物だけじゃない、全ての生き物に有効だ。それも前時代にはそんな利用も全く無関心で、人間以外にはやっていなかったようだがな」
「むう・・おい、そこは確かに今後の話になると思うし、てっきり俺はそっちの話かなと思って来たが、どうもお前の言う事は違うようだな」
*重要なものだ
ダンが再度言うと、
「そうだよ、だからそっちはまた別の話って言っているじゃん、俺は回りくどい話はしない。だから、この蜂が何故じっと1年か2年か知らないけど、腹を満腹したらじっとしているのかを考えた時、それは羽の微動だ。それを震わせる事で静電気が発生し、その振動が灯りを誘発する。また空間の温度が高いのは、蜂の排泄物を細菌が分解、発酵する熱だろうと思う。何故酸素量が多いのかについても、そこでゼニゴケが育つ理由もやっぱり細菌なんだよ。二酸化炭素を植物は吸い、酸素を吐き出す。ゼニゴケはそうだが、あの空間の酸素量を増す量では無い。そこで、草食竜の排泄物が何故無いのか・・分解しているからだよ、体内で細菌が・」
「お前・・そんな知識まであったのか・・だから、MRでは観測出来なかったと?」
「だろうな、俺はそう考えた。だが、そこの話じゃねえよ、この*巣の構造を誰か調べたか?蜂を殲滅する事は必須だったのかも知れないが、蜂の事だけ調べて、巣はどうしたんだ?俺はそれを調べていた。これは、ゼニゴケを咀嚼し、砕いて自分の唾液で固めたものだ。そして、その巣の素材である網目状の繊維には帯電機能がある。何を意味するのかは、それを今後知らべようと思っていたんだがな」
「おお・・リン・・それは凄いぞ・・お前」
*こちらも重要になって来る
そう言った所に、シンが何とリモートの画面に登場した。




