第14章 大きく動く
「あのさ、オオコウモリの糞も、ここには動物もまだ放せる段階じゃないけど、T国のあの果樹下の土壌には、ぶっといみみずが居る事を知ってもいるが、あの腐葉土って言うのは、凄い土壌改良剤なんだぜ。いずれ、こっちの土壌も山切りの木の下とか、擬ガジュマルの木の下には一杯腐葉土も出来るし、大葉の枯れたものも段々と積もって来る。そしたら、不毛の大地でも、昔のM国や気温も低く、乾季には雨も少なかったが、今は違う。地下水脈を表土に導入するポンプは、太陽光発電によって、どんどん川となって流れている。そうする事で、恐らく地下に眠っていたんだろうな、色んな草木の種が今芽吹いているようなんだ。そこへこの大葉の腐葉土をMIXしたら、良い肥料にもなるし、微生物も戻って来るだろう。その結果何が起きると思う?」
「おいおい・・色んな事を一遍に言っているぞ、リン。何が起きるんだよ」
シンが苦笑い。色んな者と話をしていれば、まったく違う分野から様々な発想、意見が飛び出す。シンの会話主義はこのままきっと継続して行くのだろう。
「前に言ったかな、微生物が活発化し、分解酵素を発する。そして、熱を発するんだ。つまりさ、色んな発電システムが言われる中であの蜂だよな」
「蜂?ショウの資料館を褒めていたが、そこに何がある?」
シンはきょとんとした。
「俺はさ、まだ蜂の巣は他にもあるし、もっと居ると思うんだ」
「それか・・可能性は高いよな」
「で・・その蜂の巣の事は今余り調べられていないだろ?俺は少しサンプルを貰って来た」
「おう・・そうか」
「その蜂の巣は、主成分がゼニゴケなんだが、草食竜の糞を元にしているらしい。尤もその肉食もあるが、巣の材料はそれで作っているようだ。そこで何が起きると思う?と言うのが俺の言いたい事だ」
「分からないな・・降参しとこう」
シンは苦笑いしながら、そう言うと、
「蜂は、殆ど動かない・・しかし、1年後か2年後には又肉食を敢行し、女王蜂に栄養を与え、自分達は、巣窟の傍で塊じっと動かない。だが、その熱量は維持され、とても高温になる。これは、その糞がその下部にまた凝縮され、高い温度が発酵熱によって生まれるんだよ。巣は正確には24個あった。大小を含めてな、蜂の数も回収した個体だけで300万匹に迫る。実際には500万匹に至っただろう。これだけ密集すれば、当然酸素を吸い、二酸化炭素を吐き出すんだが、こいつらは、普段は殆ど仮死状態になって呼吸をしないんだ。だから酸素の供給は女王蜂だけで良い。どこかに空気が流入する事はあるとは思うが、これだけの密集だ。通常に考えれば酸欠状態を起こすだろうな」
「ほう・・リンは植物や、肥料に精通しているからこれだけの事が言える。しかし、幅広いなあ、生体学も絡んで来ている」
「そこは俺なりに調べても居るさ。そこでだ・・量子発電とか何とか言っているが、それだけの装置の存在があると思っているんだろうか」
「それは・・まだ確かめられている訳じゃないけどさ」
シンが言うと、




