第14章 大きく動く
「そうだ・・実働部隊が何故、自分達が生み出した生体武器のオオコウモリ群の居る中で、何度も組織されたのか、そして黒服達の暗闘と言うか勢力争いにしても、保守派と改革派、また和良司令官における内部分裂工作や、まだ未完成である対馬海洋研究所における研究の邪魔をして欲しくない妨害行為があった訳だ」
「やっと・・今分かりました」
「言わなかったのは、君達はそう言う内部抗争などの雑音よりも、今人類未踏の境地を切り拓いてくれている。雑音を入れたくなかったからだよ。私には今言うように、意外に思っただろう?これだけの年齢の者が組織に残存している訳だ。自分の公に出来ない部下も居る訳だ」
「そうですか・・私は何も知らないまま、和良司令官に利用されていたんですね」
「私も実在したシリマツ官吏の実体が、すり替わっているとは思いもしなかったさ。それが分離・培養体であると言えば、君も納得出来るかい?」
「まさしく・・私の研究です・・脳だけはどうしても培養出来ません。でも、それを挿げ替えれば、胴体のIPC細胞培養は可能ですからね。そして、それを盗み自分の為に独自研究をしていた」
黒川主査はやっと理解したようだ。
「今、そう言う事で第3世代と次代の者達の年齢差は26年も開いている。これは、適年齢と言うものがあって、15年がこれまでの限度と言われて来た。現生体プリンタが使えるのかどうかなんて未知数だろう?それで生命が産み出されても、どんな世代に育つのかは誰にも分からない。せめて10歳位に育たないと、本当の能力なんて分からないんだよ」
「良く・・お教え頂きました。有難う御座います。やはり私はもっと自分でも知り得る事を隠居なんて決め込んでいないで、積極的に参加しないといけませんね」
「まあ・・出来る事はやるさ・・だが、シン首班が居なかったら、我々は老朽化して旧ドームも失い、地下生活を余儀なくされていただろうね、間違いなく」
「はい・・」
2人はこの先も色々話し合ったようだが、今になってこう言う事も見えて来ると言うのも、やはりどこまでも組織と言う闇は根深かったのだろう。顧問と言う立場であっても、シンが信頼をしていると言う立場においてもだ。そうしてしまったのが、神野黒服が自分達であると言っているのだ。
さて・・夢想話のように、子供がきらきらした眼で喋るようにシンが話すものだから、いつしかエイタも話に夢中になっていた。そしてやはりシンが見抜いた通りの男であった。この超抜な能力を秘めているエイタが、徐々にそのベールを脱いで行く。シンが話術で引き出しているのでは無い。何も心にそんな計略も無いし、黒川主査と対した時も、マーキングスポットの有無を確かめただけである。そして、それは現実となった。そこで、様々な事が神野元老と黒川主査との話の中で見えて来る事についても、恐らくシンはそんな事を聞かずとも今では理解しているのだろう。だから聞くまでも無かった訳だ。だが、問題なのはその手法であり、原点を知る事にあったのだろう。
そのエイタが、




