決別 12名の戦士達
ヤマイも怒っていたのだ。全員がまた大きく頷いた。
ヤマイは、質問をする。
「ランとリンが工具をこっちに運んだ所を見ると、この場所を掘ると言う事らしいな、どうやら」
「そうなんだ。俺達の目的は分からないけど、何かを探すと言う事かなと・・」
シンが答える。
「俺も情報と、他に物を持って来た。役立てて欲しい」
ヤマイは見た事も無い物を、全員の前に差し出した。
「これは?」
エライ班長が一番興味を示す。
「俺達生物班で研究して来た、山切りの木の樹液を凝縮した液体です。これを水鉄砲のように100倍に希釈して飛ばすと、恐らくオオコウモリには遅効性ですが、絶命する筈です」
「え!そんなものが既に作られていた?」
「早いよ、君達が野外活動で得た情報は、驚くべき早さで研究され、開発されつつある。だから、恐らくもう俺達は消えた事になってしまうけど、遅かれ早かれ、ドームの中では次に野外活動をするメンバーを養成しているのに違い無いと思う。でも、そうしなければならない何かがあるからだろう」
「そうか・・そんなに」
シリマツ官吏が憂い顔。
「知っていますよ、シリマツ官吏。相当今回の実動の事では、上とやりあったんでしょう?目的も知らされずに、鹿捕獲網設置など、本来自分達がやるべき活動じゃないです。でも、食糧事情も逼迫して来ているのも事実です。恐らく食糧保管庫の電力が厳しいんでしょうね、想像でしか無いけど、開発・研究や作業班、技術班などに電力を使う分、厳しいんだと思うんです。そうなると食糧も長く保管が出来なくなるから」
「少し、その情報はあるのかい?ヤマイ君」
「詳しくは・・でも、そうだろうなと聞こえて来ました。今からこのドームの外は雨季に入ります。となると、ドームが電力を生み出している太陽光の発電自体が厳しくなる。今まではどうにかまかなって来たけど、今は相当に厳しい筈です。結局の所文明の利器、電力がドームでは全ての原動力ですからね、この時代になろうともそこは不変なんですから」
「良く分かった・・じゃあ、やっぱりこのエライチームは、野外生活を選ぼう。そして、ここなら雨も大丈夫だ」
「良く見つけたものですよ、こんな場所があるなんて・・」
「全く偶然だよ、奇跡的な発見だった。そして、何の為にこんな場所があるのかも、目的も全く分からない。でも、こうして助かっているんだ・・」
「うん・・」