第14章 大きく動く
シンは面会不用の札を掲げ、自分の寝室でこの日は眠る事にした。とんでも無く精神力を消耗した1日だった。信じては居るが、黒川主査がもしシリマツ官吏のような人造人間であったなら、どんな反撃に遭うかも知れなかったのだ。そして、それだけの仕掛けを和良司令官ならしかねないからだ。でも、そうでは無かった事に安心した・・。
翌朝になって、まだ札が掛かっているシンに遠慮して、アマンはまた自室に戻った所に、黒川主査から彼女に連絡が・・滅多に無い事なので、少し驚いていると、
「やあ、突然済まなかったね、同じ部門の特任研究だったが、もう担当が君になって私も最近では余りタッチしていなかった。昨日首班と色々話をしてね、そこで君に聞こうと思い、連絡したんだよ」
「そうですか、首班が黒川主査と・・」
主査と言うのは、役職名だが、ここにもどうやら意味があったようだ。
同じ研究をしていると言う事だ。これはシンの言ったように、この研究の後継指名は神野元老が行ったと言う事だ。それだけ重要な研究を当然意味する。
「色々聞いた。分った事は、培養細胞と、分裂細胞の違いだと言う事だ。しかもそれが専門家では無い首班に言われて、私も少々ショックを受けたよ。だが、その一つ一つに対して、全て検証して来て、時間は掛かったが、実証したものには微塵の疑いも無い」
「何が・・あったのかは、私も存じません。また聞いてもおりませんし、昨夜からお疲れなのでしょう。入室不可の札が寝室にかかっておりますし」
「そうか・・そうだろうな、もし私があちら側の者だったならば、首班も或いは・・の状況も想定されたかも知れない。だが、その前に私はラン班長に狙撃されていただろうな、レーザー銃で・・ふふふ」
「まあ!何て事を・・冗談ではありませんわ!」
アマンが怒った。
「いやいや、当然の事なんだ。だから、今はこれだけ聞きたい。もう分裂細胞は、ほぼ実証段階まで来ているんだね?」
「はい・・その段階まで来ていると申し上げておきます。後は、メイ・リー博士とゆっくりと今のラン班長製造の15D生体プリンタで、シミュレーションをして欲しいと言う事です。これには、さあ、やって見ようと言うような実証は不可ですし、そこまで費やして来た300年以上の研究過程が御座いますから」
「そうだな、うん。安心した。私はそれだけ聞きたかったんだ。じゃ・・」
黒川主査はこれで会話を終えたのだった。アマンは、少し本部の外に出る事にした。すこぶる上天気のようだが、紫外線は肌にきつい、すぐ室内へ・・そこへシンが起きて来ていた。爽やかそうな顔に見えた。
「あ・・ごゆっくり眠られたようですね、首班」




