第14章 大きく動く
「培養体だって・・?それはどう言う事を言っているのかね?
「勿論完全体でも無いし、遺伝子伝達の我々とは組成そのものが違うと言う事です。自分がもしもの時にそちらに脳移植を考えていたのでしょう。その為に再生細胞を利用し、T新人類を生み出す前の試験でもあった。だが、それは自分では勿論無いから、精神コントロールしていた訳です」
「じゃあ・・人造人間とでも言うのかね?」
「あ・・良い言葉っすね、まさしくそっちですよ。だって、再生細胞が出来るのなら、既にこの世に居ない者のDNAを利用し、生体プリンタでコピーを作って置けば良い。それは、正式な試験管ベビーじゃないですもんね、そのままの年代の人間を再生細胞で産み出すんですから、全然その生体自体が根本的に我々と違うじゃないですか」
「だが・・そんな事を嘗てやれた者など居ないんだよ、それが出来たのかどうか」
「いいえ・・だから特務研究の単細胞を自分で研究したんです。その実験体はもう土竜エイや、和良クラゲ他、奇妙な生体群でほぼ見通しがついている。だからこそ、その研究を盗んだ事が公になっては困るので、色んな工作もしている訳ですよ、今だからこう言えますが・・」
「そこまで言うからには、やはり根拠がはっきりしているんだね?」
「はい、はっきりしたのは、実は今日です」
「え!今日?・・・」
黒川主査は眼をくりっとさせた。
「はい・・もしやと思い、この部屋にお通しをしたのには理由がありました。でも、どうかその辺を悪意あるものと受け取らずに、お聞き下さいますか?」
「はは・・シン首班の数々の行動とその眼力と言うか、見定める能力を知る私だから、そこは許容できるとお答えしよう」
「申し訳ないです。つまりレーザーポイントで15名はマーキングされ、ご研究の黒川主査の単細胞多分化発生を突き止めたと言う事です」
「え!私達の研究は和良司令官に洩れていたと言うのか!」
これには驚いた。
「はい、先ほど確認しました。そのレーザーは、地下内部にどうやら保管されているようです。でも、眼に見えたような発射はありません。恐らくどこか特定の場所、目隠し状態の中で、照射されたのでしょうね。和良司令官は15名のいずれか1名が特任の研究者の一員である事を知ったのです。だから、一切自分の行動を隠し、そして合理的な方法にて黒川主査の研究室を知ったのです。地下2室ですよね、そこは。今も旧ドーム下で、健在の場所です。ですが、今はアマン主査の部屋に機器類を移動しております。彼女がその研究を引き継ぐ第3世代のメンバーになったからです。でも、黒川主査には最近までそれは知らされていなかった筈。何故なら、それこそ神野元老の役目だからです。俺が首班と言う立場になってそれも最近知りましたが・・でもオープンにしました。過去300年余の研究は、決して軽いものでは無い事は承知ながらも、大きく前進したのは、異分野MIXと言う視点からです。そこもご存じの筈です」
「そうだったね・・思いもよらぬ発想だった。今は私もかなり部外者的感が強いが、やって来た研究の方向ががらっと変わったし、増して、この先端技術、科学の無い時代での話だからね」
少し驚きも収まったようだ。黒川主査の声音も落ち着いて来たようなので、シンは、




