第14章 大きく動く
「呼んで頂き光栄です」
メイ・リー両博士はシンの前で深くお辞儀した。
「はは・・光栄だなんて、仕事で忙しい所を呼びつけただけだからさ、俺こそ恐縮だよ、申し訳ないね」
「何を仰います。ずっと、ゆっくりお話したいと思っておりましたが、私達も産業資料館のプログラム作成後、人増員ミッションの指名もあって、動けなかったので、こんな機会は滅多に無いし、会議以外はお会い出来ませんから」
「あ・・そうだった。そっちに結構足を向けて無かったんだっけ・・反省だなあ。でも、お2人の非常に高い学識に信頼を置いておりますんで、そうなっちゃったのかなあ」
「まあ!」
シンはこのようにざっくばらんで、どこまでも心は真っ白だ。それ以上にその雰囲気・所作、言動に至るまで、女達にもとても親近感が湧く尊敬出来る首班なのだった。心を捉える・・シンは正にそう言うリーダー像を最初から持っているのであろう。
シンがアマンが見て検討して欲しいと言ったが、その会話途中のタイミングにて2人を呼ぶとは、驚くことばかりだが、雑談形式で最近はシンとも会話が出来るようになった中で、多分シンの思う部分と、T国新人類などと言われているが、何故?このような事をしたのか、また出来たのか、やはり謎部分である事に疑いは無かった。
「じゃ、色々こうやって、別ミッションの3人が揃った訳だ。またそれぞれにランから送って来た生体用15Dプリンタも性能は同じなんだろうが、用途のコマンドが違うと言う事で、マニュアルのカードは当然ついて居ただろうと思う。実際俺の所にそう言う報告をいちいち受けても、全てに眼を通す事は出来ない。なので、対話の中から自分流に感じた部分からまず取り掛かりたいと思ってね、周囲にはなかなか理解されない行動だが、今回色んなやはり部署とも断片的ではあるが聞いて来て、凄く興味のある話が幾つかあった。あ・・この場合、趣味的な興味では無いからね」
「まあ・・うふふふ」
彼女達は笑った。こう言うとっかかりを、まずシンは自然と自分と部下である彼女達との壁を無くして行くのだった。
「で・・早速だけど、T猿人と言うかネーミングも嫌なんだけどさ、生体プリンタで通常コピーしたデータは持って来てくれたかな?」
「あ・・はい。オフラインでやるようにとラン班長からもマニュアル指示にありましたので。現在通常の今までの15D生体プリンタはオンラインです」
「比較はして見た?」
「あ、それも今までのデータをA国製のカードで照合しております」
「じゃあ、基本的には主査の15Dプリンタも同じ機能なので、読み込めるんで、一緒に見ようか」
「はい・・」




