第14章 大きく動く
「じゃあ・・不明な自分が、もしとんちんかんな質問になるかも知れませんが、前回遮蔽したと言うのは、光子ですか?振動電子ですか?」
「ふむ・・振動電子・・それは首班が名付けたものですか?」
ケンシンが聞く。
「いえ・・電子には電荷密度、バンド構造、磁気構造、フェルミ面、状態密度があると調べて来ましたが、このエリアの場合、磁気構造が関係しているのかなと思って、金属層にとり、イリジウムの発光現象と、光子・・この場合、被膜状に覆いかぶさった2種の光子とお聞きしましたが、それの相関関係があるのかな・・と」
「凄いですね・・その論拠は首班だからこそだと存じます。私はその磁気構造をリニア方式としてMSI飛機を、これもウテン・サテン班長の泡噴射工法を重ねて開発しました。勿論、今空想であれ、20Dプリンタの性能があれば、あらゆる機械類データとのマッチングが可能です。その形状に合わせて自動で計器類もそのデザインも自在に組み替えてくれるからです。そこが、やはり3D、4D時代の者達から見れば、とんでも無く凄い科学の発展の未来機器なのでしょうね」
「はい・・それを、でも具現化出来ると言うのは発想力・応用力と言われるが、普通の者には出来ない事ですよね」
「いえいえ・・」
ケンシンは手を振り否定する。シンの中で何かその言葉の策にヒントがあるような気がした。彼はこう答えた。
「つまりですね・・私もそちらの研究員の一員でした。尤も余り私の経歴を言うのはどうかなと思っていましたし、若山部長の後に私が同じ部署に異動になったのも、そう言う経緯です。つまり、私は同じく複数の密命部署がありますが、ずっとこう言う部門の人間でした。不思議な事に、それが影像や画像方面と驚く程似通った部分がありまして、それが磁気と言う部分なんです。そこで、昔はビジネスマッチングなんて言われていましたが、機械上でそれが出来るんですよ。だから私は応用と言う言葉を使うんです。その点、ラン班長などはもう機械そのものの特性を一番良く理解されておられるので、その機能に直接コマンドを送り込み、処理を早く出来るようにしてくれたり、弱い部分を改良し、その20D、30Dプリンタそのものをコピーしてくれているので、常に最新機なんです」
嬉しそうにケンシンが言う。ああ・・やっぱりこう言う人物なのだとシンは思った。そして、もうある程度は自分の推理がそう外れていないのかと、こんな質問をしたのであった。
「乱暴なこじつけ論になりますが、それでは色々お聞きしていて、やはりそう言う部署に居られたと言う事を含め、今とても重要な局面にありますので、つまり磁気と言う部分と光子阻害は比例すると言う事で構わないですか?」
「ふふ・・ふふふ・・つまり、それでは自分もお答えしましょう。線に対し、一方は面であると言う事です。線を面が妨げる。しかし、それは透過しないのでは無く、恐らく歪ませると言う部分で、良いのではありませんか?その歪み部分については、恐らく計算的には表せないと思います。引力の違いと思って頂ければ、どの程度で反引力になるか、又双方が比例する形で引きつけ合うか、この場合は一方に引き付けられると言う事になるし、双方が均等であれば、その両者の丁度中間点で引き付け合います。反発すれば、離れる、それも均衡するか、どちらかに逃げて行くか、大きく弾き飛ばすか・・です」
「有難う御座いました」
シンは大きく頭を下げ、MSI飛機の応用や、その仕組みを理解したばかりか、自分が今後指示するだろうやはりM国に行かねば得られない生情報を、いかにして行動すべきかを思ったのだった。




