第14章 大きく動く
アマンが自分が実働を指令されるのか?と、期待満々のランの顔を見て、吹き出しそうな笑顔になる。恐らくそれなら、呼び出したりもしないだろう。ダンを通じて指令を伝えるだけだ。結構ケンも加わって、A国基地では『戒』も以前のようには走れなくなったが、その周辺を『愁』と仲良くうろついているようで、他犬軍団は元気そのものだ。次々と何か見つけて咥えて来てはケンに渡しているようだ。何もないと思われていたA国の大地にも、次々と動植物の存在がある事も分かったし、山切りの木が適応したようだ。大葉はオールマイティ―で、どんどん勢力圏を拡大しつつある。だから、犬達の功績がここでも非常に大きくなっているのであった。
「はは・・今すぐでは無いが、お前はそっちの計器をもう7割も20Dプリンタで解析・コピーしたそうじゃ無いか」
「そっちの話なら、1日や2日では全然足り無いぞ。とても有益な物が幾つもあるからさ」
「ああ・・何と言ってもA国は先端科学を有していた、大国の一つだ。そう言う物には期待も出来るだろうが、俺達は今そこじゃないからな。そこで、お前が前に言っていた事を思い出してな。お前がショウに大部分を任せたが、MAP作成の際に、光子についての話をした事があった」
「え・・と、無線光ケーブルか?有線光ケーブル?どっちだ?」
「無線の方だよ。お前は確か光子は透過光子であり、幽霊原子のように物体をすり抜けるものだと言っていたよな」
「ああ、今更そんな事を聞くのかよと言う話だが、要するに、分子原子レベルであり、とても小さく密度も低い。その光子は実際何十万度の温度を持つが、分子レベルでの密度が低いためそれが周囲に熱量を伝える事は無い。和良無線光ケーブルは、その光子を2重の密度がある、これは可視光では無い、光子が螺旋状に巻き込んでそれを閉じ込める仕組みだ。この光子は閉じこめられても、もはや分散出来ないから、無限に消滅する事は無いと言うものだよ」
「何か・・余り今聞いても良く分からないが、例えばお前が遮蔽板の時にちらっと言っていた話だが、それはどう言う仕組みか聞きたいんだがな」
「今・・それって・・つまりM国恐竜エリアの無線光ケーブル阻害環境だな?確かにそこには複数の阻害する何かがあるが、調べられている訳では無い。でも俺に聞く限りは、人為的に出来るのかって言う話だよな」
「お・鋭いな、その通りだ」
「まあ・・俺は理路整然と説明するのは苦手だからな、主査も居るから後で要約して貰ってくれ」
「ま・・」
アマンが苦笑する。




