第14章 大きく動く
「あ・・その場合、栄養価的には変わらないと思います。そして済みません、言い忘れておりましたわね。その11時方向通信路には、相当のミネラル分を含んだ水があります。そこでカマドウマも、やはり他の個体より大きいので、これも識別番号で今データベースに収まりつつありますが、相当数の棲息数ですから・・蜂の更に数百倍は居ると思われます」
「ひえ・・何億匹に迫る数かい?」
「かも知れませんね。つまり、これらのミネラル水も、ヤモリを巨大化させる要因です」
「それは、聞いたよ。先程ね・・色々途中で質問も入ったから混乱したかも知れない。で?俺は主査に聞くが、今の意見はどう思う?」
「・・それは・・蜂がまだ残存しているかどうかを調べるのが先では?そして、これが日本・M国の戦略の一貫なのだとしたら、とても危険な行為なのかなと思われます」
「うん・・忌憚なき意見に感謝する。他の者も同じかい?」
「あ・・私は今のお話を聞いていまして、つまり探査MRを惑わすようなつまり、無線光ケーブル網を遮断したり阻害するものが存在すると言う事ですよね」
「え・・あ・・それはどうなのかな・・」
シンも困惑した。
「私に調査させて頂けませんか?勿論、MRではその空間が駄目だとは分かりました。ドローン式の360度センサー付きの、カンジ班長がやられていたような振動を放って反響してくる音から物体認識が出来るようにやって見たいのです」
「ほう・・どうやら、そっちが先のようっすね。じゃ、決まりだ。それをやって頂こう部長に」
「はい!」
そこで、シンがM国探索時にランが遮蔽板の事を話していた時に語っていた事を思い出したのだった。
「ん・・?ランを呼び出そうかな・・」
独り言を言うと、傍にはアマンが居る。それは呟きであっても、彼女には勿論聞こえてしまう。
「あ・・独り言にならないよね?はは」
「いいえ、首班の思う事に口出しなどしませんし、聞く事もありませんから・・ふふ」
「良いよ、ランが画面に出たら、一緒に話を聞いて欲しい」
「はい・・」
ここで、ずっと以前にランが言った言葉を思い出したシンだった。ランはすぐには画面に出なかったが、慌てたように、
「何だ、何だ!俺に大事な用が?」




