第14章 大きく動く
「じゃあ・・お願いするよ。でもさ、どうも補佐が進行を遅らせているよな、ちょっと黙っていてくれないか?」
ダンがにやにやとしながら言う。その辺は何時もの毒舌だ。コウタが舌を鳴らし、
「ちぇ・・あ、御免、進めて」
「はい・・では、申し上げますが、選択個体が巨大に育つ環境と、その遺伝子、そしてその2種の存在意義と申しますか、こうして原種のような恐竜に分類出来る個体が居る。そして、重量が許容値に達した、落下必然となった5トンになれば、肉食竜のエリアに落下すると言う事です。小型の肉食竜はある程度の大きさになれば、共食いされる事はありませんが、1年で500キロも大きくなるのが草食竜、肉食竜は恐らくターゲットにされた個体は4トン弱ですから、こちらは年間400キロですわね。その程度になれば共食いはされないと思います。個体数はあらかじめ、多くて10頭前後を考えます」
「根拠は?」
「空間のスペースから産出してと、今回肉食竜は4トンの個体が蜂に襲われ、本来なら骨一片も残さず食われていた事でしょうね。数百万に迫る蜂群とは言え、一片4g相当の肉片及び、骨辺を食うと、恐らく1年~2年は何も食さずとも大丈夫だと思います」
「それには、裏付けがある訳だ」
「はい・・A国の食品研究と同じ方向だと思います。それは擬ガジュマルの木に寄生するヤドリギの果樹及び、和良クラゲにも見られます。要は完全食に当たるのです」
「ほう・・だが、昆虫と恐竜・・そこに共通項はあるのかな」
質問するのはキョウだ。
「ええ・・共通項と言うか、兵隊蟻、軍隊蟻に置き換えてもそれは同じ事です。そして活発に行動していれば別ですが、殆ど次の食事まで動かないと思われます。地上に出たのは恐らく例外的に何か、集合フェロモンが働いたのかも知れません」
「その辺は曖昧なんだ・・」
「はい、残念ながら今時点はです。これで発表は終了です」
「あ・・ご苦労様、じゃ、おれが総括と言うか、この不可思議な空間及び、恐竜の存在さえもほぼ道筋がついた。では、諸君に聞こう。このM国探査は進んだとは思うが、地下都市への実働についてはどうだろう?」
「それは・・早計では無いだろうか。今、ようやく謎の一端が見えた段階でそれを言うのはどうかな」
コウタがここで言った。
「確かにその通りだとは思うが、隊長が実働で今回の草食竜のエリアを徹底して調べた。そして、やはり2か所の蜂の進入路を発見したそうだ。蜂はやはり2種の恐竜を食うと言う事は分ったが、草食竜と肉食竜の例えば栄養価は?そして若干の域かも知れないが、1トンの違いもあるしな」
キョウが言う。




