決別 12名の戦士達
「どう・・するかと言われてもなあ・・食糧と水の心配は無くなった。我々が半年、一年過ごせるだけの環境も整った。ここでも十分寝られる。それに、ここなら外敵に襲われる心配も無いしな、安全だし」
判断に困っているようだ。それはそうかも知れないが、この謎を解かない限り、組織がどんな意図を持ちこの実動班を組織したのかは見えないのだ。今は戻る気は無いものの、ニ度と戻らぬと言うものでも無いのだ。それだけの証左を掴み、上に抗議する事が出来るかも知れないと、シリマツ官吏も思っている。彼は、とにかく理論的に納得出来ない事が嫌いな性格のようで、かなり熱い部分も持っているようだ。芯は真っ直ぐなんだなと、シンは思った。
「どうにか、道具を工夫しましょう。この石を取り敢えず、除くと言う方向でやって見ませんか?」
「うん、やって見ようよ、シン君」
シリマツ官吏が乗った。ケンが、自分がやって見ると言い出した。ガタイも大きく、膂力はメンバーで№1だ。それに、彼にはロープと言うものも作れる才能がある、それを基にテコの原理で木を使えば、そう大きな力も有しまい。とにかく石を除いて見る。何も無くてもそれは当たり前であるが、もし何かがあるなら、ここにあって不思議ではない必然なる空間となるのでは?。何かの儀式に使われていたとしても、きっとそのような意味もあるだろうと考えたシンであった。ランが、
「網を設置する時に、道具班と言う部署もあるんだよな、その班が作ったと言う工具が第四監視塔近くに置いてあった筈だ。俺、探して取って来る」
「ラン・・誰かと一緒に行けよ、そうだ、リンと一緒に行け」
「おう!分かった」
今は2人一緒の行動が原則として動いている。予測不可能な事が起きるのが現実の世界だ。彼らは冒険をしようとは全く思って居なかった。
「じゃあ、ランがその工具を見つけて戻って来るまで、どうやるか相談しましょう」
「まるで、ラン君が確実に持って帰るって自信があるようだね、シン君」
シリマツ官吏が言う。シンは、
「あいつとは長い付き合いっすからね、口に出せば、必ず実行して来ます。きっと、どこにあったかも知っているんじゃないですかね」
「ほう・・そうなのか・・君達はそう言う認識能力を磨いているんだね」
少し意味深の言葉だった。そんな認識能力を磨くカリキュラムがあったのか?と、ここに居るメンバーが少し首を傾げている。つまり、セキュリティーコードなのだ。シンは黙っていたが、シリマツ官吏が披露した。
「いや、私が知り得ると言うのはおかしいが、私も特殊なカリキュラムを受けて来たからね・・シン君、もう良いじゃないか、君もCコースだったのだろう?」
「あ・・は・・はい」
驚くシンだった。堂々とそのコースを暴露してしまうとは、思いもよらなかったのだ。




