第13章 震える
「どうして・・それが?」
コウタが聞く。
「だって形態的違いと言うのなら、このヤモリの個体差や全体生育数を把握しているかって言う話だろ?並べて比較もしていないだろう?ショウのような識別番号を振っているか?ここから全て生体プリンタで登録している。本来なら、いや・・もっと多くの者が居た旧時代なら、これだけで十分な研究材料になるし、オオコウモリにしても全体的な生息数の把握や、そこにシーケンス№が振られていてもおかしく無いだろう?つまり、そう言う事は今後やって行くべきなんだよ。データベースが出来た現在。だからこそ部長のαMRが生きて来るんじゃないか」
「そう言う事かあ・・・」
全員が頷いた。アマンやエイジも、シンの正に慧眼に納得するのであった。
「で・・もう少し突っ込んだ話をしよう。室長、説明してくれ」
あっと・・アマンとエイジは思った。もう既にそこまでシンが思考を巡らせていた事が分ったからだ。
「では・・この2種が草食性と肉食性に分類されると言う事だ。それが形態にも僅かに現れている。そのデータは照合するものがあるので、今から画面に出すので、見て欲しい。だが、今はその事では無く、ここに主査の顔も見えるので、もう少し俺からより彼女から説明して貰おうと思うが?」
「良いだろう、主査・・お願いする」
「あの・・つまりそれは、リミッターの話でしょうか?」
「まさしく・・そこを聞きたかった。何故なら、繁殖している様子の無い両種・・肉食竜と小食竜については、何故そこへ存在するかの疑問も併せて謎のままだからね」
シンがやはり誘導しているように思えた。
「その事ですが、全てそうかと言われれば、今首班の言われていますように、ヤモリの生息域、生息数、個体差などシーケンス№で把握されておりませんから、捕獲したサンプルを分析したものと、撮影された中の複数の個体を画面抽出して、ある程度比較検証したものを申しあげるしか御座いません。その辺はご了承願います」
この物言いは完璧だ。彼女の理論ベース的言葉は全てに納得させるものなのだ。
「ええ・・どうぞ」
シンが言うと、誰も口を挟める余地も無い。




