第13章 震える
「ところで、リン。地下の蜂の巣は撤去して来たんだろ?倉庫にあると言う事だが、見せてくれ」
「ええ・・俺も見ているんすけど、とてもでかいっすよね。あんなのが地下に30個は下らなかったと言う事っす」
「だったら、30匹の女王蜂は居ると言う事だよな?」
「そうなりますよね。死骸も回収してきているけど、とても大量で、腐らないように処理はしているようです。生物班がこっちに来ていますからね」
「じゃあ、結構にぎやかなんだ・・このM国基地は」
「ええ・・つい最近までサテン・ウテンもケンも居たから結構話をしてたんすけどね」
周囲は見える範囲は赤茶けた大地だ。草も生えては居ない。だが、視界の先に幾つかの緑がある。山切りの木と大葉の草原だ。草原自体は小さいものだが、それ程大きくなくても今は構わない。いずれ環境に適応し、雨季になれば・・と言うかまだ経験していないのだが、それは必ずあると言う事だ。ただ、地球大異変の後地球環境は大きく変化しており、その後更に電磁パルス爆裂が起こった。その2重、3重の大きな事変が地球をぼろぼろにしたのだ。否・・それまでにもう人間を拒絶する様々な要因による陸・海・空になっていたのであるが・・
2人は回収された巨大オオスズメハチの躯を見に、新設ドームに入ると、それはそれは綺麗にサイズ順に並んでいるでは無いか。
「おおっ!何時の間にこんなに綺麗に?」
リンでさえ知らなかったようだ。
「生物班に、ショウ班長から指令が入って、回収した蜂の個体番号を一匹一匹振って、サイズや画像をデータベース化しろって言われたんです」
「何と・・それで、これどの位居るんだ?」
マコトが尋ねると・・
「一応防腐処理をしておりますから、サイズも10Dプリンタでスキャナすれば、ほぼ順番に並ぶし、そう人間の手を煩わせる事は無いんですが、何しろ膨大な数です」
少し困ったような顔でその生物班は言う。
「まだ、この個体群は、恐竜空間のものだろう?奥の穴には、それの数千倍は居るかも知れないって言うのに、全部をかあ・・」




