第13章 震える
「で・・幾つか既に解析も終了しているが、これは・・どうも食品の開発分析の機械のようだ」
「ほう・・かなり多種の機械類・計測器が並んでいると思っていたが、確かに食の問題は重要だよな」
「うん・・エイジが詳しいんで、説明させるよ」
「ああ・・頼むよ」
「俺・・鉱物の事はエライ首班=黒川主査とはかなり一緒にやって来た時期があって、こっちに来ているのも、A国本部システム付近の鉱物調査が主ですけど、鉱物って、今我々が口にしている栄養素の中にも必須的に入る成分なんですよね。例えば亜鉛、銅、鉄分なんかもそうっす。栄養素も分子レベルまで行くと殆どその組み合わせだから、金属を我々も体内に取り込む事で動いていると考えても、ロボットとそう大きくは違わないんす」
「はは・・成程」
シンはにこりとして笑った。
*実はこの会話が後々に非常に重要な事になっていくのである。
「で・・今の完全栄養食と言う開発は現組織になって、次々と首班達が見つけた擬ガジュマルの木のヤドリギの果樹とか、和良クラゲとか、山切りの木、大葉の成分であるとか、塩に含まれるミネラル分とか相当のこれは、発達した旧新代でも完成していなかった部分なんですが、若山主任が相当に開発され、現形になっているんすよね」
「ふ・・そこの才能発揮については、驚きだけどさ」
元上司の若山がシンに対していた態度を思えば、確かにそれは驚き以外のなにものでも無い。ただ、その時思ったのは、優性遺伝子の根幹は、免疫力の高さもあるだろうが、癌遺伝子等の徹底削除から生まれた。その結果、人の寿命は元々130歳と言われるが、その限度まで近づけたのだ。他にも勿論医療技術の向上はあるが、生体専用プリンタ等も開発されていた。なので、もし手足が欠損してもその人のデータは残っているので、この時代にはIP 細胞の再生医療も進んでおり、復元再生は可能だった。要は和良司令官の求めた不老長寿であろうが、それを同時に求めた所に完全とまでは到達出来ない何かがあった訳だ。
今言う事では無いが、恐らくアマンの研究は、それをクリアするのでは無いかと思われる。ただ、シン達は、不老長寿を求めようと思わない。それより再びこの地球の美しい光景を取り戻し、地球的大事変が起こったとしても、それを再生出来る人間が居れば、可能に出来ないだろうかと言うとても大きな目標だ。その為に絶滅仕掛けている残存人口をどう増やして行き、地球的環境が以前とは違っても、生存出来る方法をも考えていると言う点だ。だからシンの見る先は誰よりも遥か先にある。
説明を受けながら頷くシンだった。途中で・・




