第13章 震える
「私が思うのは、蜂はやはり生体武器として、必要或る時に、例えば集合フェロモン、攻撃フェロモンと言うものでコントロールする筈だと思うのです。勿論それは人間がです。そして、必要が無い時には、じっとしている。今言われたように消費カロリーを押さえている状態でも、それでは生きている以上、エネルギーの補給は必要です。つまり、肉食恐竜も草食恐竜もその為の食料だった。その考えでいけば大蛇だってそうです。このM国の生物はとにかく大きい。ですが、大きな遺伝子操作生物でも無さそうだと思っております。そして成長遺伝子のリミッターを外せば、個体は大きくなります。ですが、余り広い場所だとやはり運動しますので、限られた空間で密閉しておくしか無い。それがあの2空間で、今回思ったのは、例えばあの肉食恐竜を1頭食せば半年・・いえ1年はエネルギー源の補給をしなくても済むのでは無いでしょうか」
「むう・・やっぱり見事な推理だ。理論的でもある」
キョウも唸った。
「あら・・だから私見ですよ、何の根拠もありません。それともう言い出したついでですから、言わせて頂きますが、あの蜂の巣の裏側と言うか・・あの空間は草食恐竜は非常にマイペースで動きも緩いので、ゼニゴケで生きていられる可能性も無くはないとしても、肉食恐竜には食料が無くては生命を保てません。あの裏側通路から、何か運ばれていたのだとしたらどうでしょう。今回は、巣の表側に穴がありました。裏側穴には、これまで見つかっておりませんが、やはり投げ入れる・・或いは落下させる何か食料運搬があるのでは?」
「ええっ!じゃあ、やっぱり地下都市には誰かが存在する可能性があると言う事?」
「そうとは限りませんが、自動給餌機的なものがあれば、量子発電所は100年稼働すると言われております。資源も塩と水・・それがあれば、稼動する機械はあるかも知れません。予想もつきませんし、私の頭の中の完全な空想ですからね、ふふふ」
「笑っているけど・・何かすげえ現実味のある話に思えて来たぞ・・。とにかくダンも言っていたけど、全ての蜂の死骸と巣は回収しとこう。これはやっぱりアバター操作になっちまうよなあ」
「ケイジがとても今回良かった。指名したら?隊長の任務がまたストップになるけどさ」
キョウが言うと、シンは
「あ・・それはケイジを実戦に成らす訓練だったんだよ、だから隊長に現地に飛んで貰おう。リンもあっちに居るからさ。地上へは警戒はするけど、MSI飛機移動だ。問題も無いだろう」
「それは、良いね」
キョウもアマンも大賛成をする。
こうして、もう翌々日には彼らの次なるミッションが始動したのであった。
「済まん・・何か疲れていたようだ」
画面にコウタが顔を出した。この幹部達が実質組織を動かしている。本人達も以前のような少し外から眺めているような事は一切なくなった。自分達の役割が重要である自覚があるからだ。それもシンが時間をかけて彼らの心を掴んだからなのである。




