第13章 震える
「凄い数だな・・100万・・いやもっと個体数があるのかも」
「まあ・・体が大きいからな。多くも見える部分もあるだろうが、肉食恐竜のエリアの蜂は回収作業に入っているようだ。肉食恐竜もこれを食べる様子もない」
「一体・・蜂がこの恐竜を食う。一部しか骨も残らない程・・つまり、蜂は恐竜を食って来て繁殖したと言う事か?」
「分からないが、人間だって食われた可能性はあるかもな」
「おいおい・・開発者である筈の人間が殺られていたら、本末転倒と言うか主格転倒?何の為に開発したんだと言う話になる」
シンの顔色が変わった。
「でもさ、これだけ無人探索機を飛ばして360度スクリーンで観察してきて、確かに蜂の巣については裏面から発見はしたが、入り口の穴は見つかっていない。本当は恐竜エリアには移住環境があるのに、考えたら不便な場所なんだよな。セパレートされた穴は意外にも広かったし、今も探索しているが、とにかくこの蜂の処理とか巣についても取り除く必要があるんだ。また色々相談をしながらやって行く事になるだろうが、主査はどう思う?今回は君の提案が一番現実的な対応だったと思うし」
「え・・でも副首班、昨日の今日ですから。そう先々とお考えになる事は理解しますが、今回は蜂が動き出したと言う危険な兆候があった為の緊急発動で御座います。本来ならば、巣の裏側から殺虫剤を注入し、女王蜂を殺すと言う事が主目的では無かったでしょうか。それもあれも一気に決行した訳ですから。それに、蜂が何故一直線に恐竜・・それも肉食恐竜を襲ったかと言う事です。そして、草食恐竜エリアには進入の気配すらなかった。この対比も含め、検証する事は無数にありますわ」
「成程・・主査の考えはとても一貫性がある。感服しました」
「嫌だわ・・私は自分はこう思うだけの話をしているだけです」
「いえいえ・・参考にさせて貰います」
ダンは、アマンがやはり優れて博士であり、シンの傍に無くてはならない女性だと改めて思った。後からまた連絡するよと画面が切れた所で、眠そうな顔をしてこちらで宿泊していたキョウが入って来た。昼食を勧めながら、キョウも、
「いやはや・・とんでも無い数が居たもんだ・・夥しい数の蜂だ」
「室長・・まだ居ると思うかい?」
「え・・居たら、大変だなあ・・それこそだ。否定は出来ないものの、このエリアと斜坑は繋がっていた。それに、今回真っ直ぐに肉食恐竜エリアに入り、襲った。流石の恐竜も成すがままに食われてしまったよな。例えば、この恐竜が蜂の食料だとしたら、あれだけの数の蜂を養う量はあるよな」
「でも・・仮にそうだったとしても・・もう6頭しか肉食恐竜は残っていないんだぞ?」
「そうだよなあ・・でもあれだけの巨体なら当分食わなくてもエネルギー効率は悪く無いんじゃないのかな、飛翔距離は知れている。100~200Mだ。それに普段は動かないんじゃ無いのかな。だとしたら、エネルギーは消費せずに済む。相当食べなくても大丈夫だろう」
「ふうん・・そう言う風に考えるんだな・・アマン、どう思う?」
「私見を申してもよろしいですか?」
「どうぞ・・自由に、ふふ。俺達が今話しているのは、そう言う事っすから」
シンもキョウも笑った。




