第13章 震える
「ここはもうMRに任せよう。このままでも危険は去ったかも知れないが、何があるのかが読み切れない世界。念には念を入れる」
この判断も恐らく正しいと思われる。そして、丸一日がかりとなって、ほぼ・・と言うかもう殺虫剤で蔓延したその巣がある穴の空間には、蜂が飛び回れるような環境では無くなっている。この中にカマドウマ及び、ヤモリが居ても、ここはもう仕方が無いなとシン達も思っていた。
「終了したかな・・」
シン達も一睡もしなかった訳では無く、その間に仮眠もしたが、次の昼過ぎになって、終了宣言を出したのであった。
「良くやってくれた、睡眠剤を服用した隊長、ケイジはもう少し休ませてやろう。アマン、君もドリンク剤で朝食ならぬ昼食を・・」
「はい・・」
2人で並んでスクリーンを眺めた。
「正直・・いけいけで指令を発したのは、初めての事だった」
「のっぴきならぬ事態だったと思います。その判断が遅れれば、やはり脅威は増したかも知れません」
「もう何かやらなきゃならないって感じだった。でも、もしこれでこの巨大蜂を絶滅させたんだ、やったなと思うとしたら、それは、俺自身の人間的なやはりおごりになるのかな」
「それは違うと思います。そのおごりは、むしろ生み出したものにあると思います。それをむしろ解消したと言う事でよろしいんじゃ無いでしょうか。尤も蜂が完全に駆除されたどうかはまだ分かりませんが」
「だったね・・それはまだ早計だった」
シンは落ち着いた声でそう言うと、ダンが画面に・・
「おう・・お疲れさん。俺も今目覚めた所だ。流石にぐっすりと眠った」
「ダン・・色々助かったよ。でもスナイパーさんは不服かな?」
「は・・結構あれでも、集中していた見たいだぞ、肩で息をついていた。とにかく一瞬も気の抜けないものだった。これは全員同じさ。αMRが今蜂群の穴に進入し、調査しているが、画像を見てみるか?」
「あ・・おう。そうだったな」
ダンが操作すると、夥しい数の蜂が地面が見えない程積み重なっていた。肉片を咥えている個体、何も咥えていない個体と様々だが、生きている個体は見えなかった。




