第13章 震える
「その上で、防御服を着ていたとしても、毒針長さが3センチもありました。通常のスズメハチでさえ6mmで最大級なのに、その5倍もあるのです。防御服等着ていても殆ど役に立たないでしょうし、仮にそのような防御服を着用したとしても、とんでもない大群です。少々の駆除剤を持ってしてもどうにもなりませんから・・ここは、私は防御では無く、一挙殲滅する方策を考えるしか無いと存じます」
「ふむう・・まさしく君が一番正論を言っていると思うんだが・・」
シンも頷いた。
「そこでですね、私も勿論今言った事を想定して、考えました。巣の存在と位置はほぼ分かっている事と思います。ならば、巣の裏側からでも良いので、ドリル形式で穴を開けて、有効とされるピレスロイド系のレスメトリンが有効だと思われます。これは元々大葉も菊系の植物ですので、これを乾燥凝縮してやれば、粉末にして濃厚な抽出液が得られます。ほぼ何も加えなくても、良薬は即ち劇薬にもなる訳ですから、効くと存じます」
「君は・・そこを調べたのか」
キョウは絶句していた。
「はい・・他の動物系、生態系がこの地球上に無数に居る時代であればともかく、限られた種の、それも特定の場所だけに現在棲息するので、この時を逃したら、今回はオオコウモリによる超音波一斉攻撃が奇跡的に、飛翔阻害をし有効になったのですが、あの大群に今後それを行えば、我々人間にもその音波攻撃は危険です。耳栓も効果が無くなるでしょう。ですので、窮余の策であったと思いますが?」
「俺達は・・実に消極的だったのかも知れないな・・まさしく、今主査の言った事が本来まずやらねばならない最良の方法だったんだよ・・」
シンは唸った。キョウもこっちだったかと、大きく頷いた。
そして、それはすぐに実行に移された。トライアングル会議にまず上程されたのだ。
「ふむう・・主査は確かに非常に高い知識と分析力を持っているが、まさしくその提案こそ人類が生み出してはいけない負の遺産を、俺達は防ぐ事ばかり注視していて、攻める事、その原点を忘れていたのかも知れない。幾らそんな薬の開発を先行させていても、重要だが根本では無い。基を絶たなきゃ、襲って来るのは1匹じゃない・・大多数、どの位居るのか分からないが、その時点でアウトだ。その提案に乗るか、どうだろう?」
「そうだな・・巣が確認されている以上、その巨大スズメバチのまず女王蜂が居る場所を狙おう。これは駆除だ。こんな生物がこの世に居ては駄目だと思う。オオコウモリとは共存出来たし、他の動物達もその中で食のピラミッドがあるのなら、それを人間が思い上がってコントロールしちゃいけないと思うが、これは地球上に存在したら駄目だと思う。反対意見が無いなら、殲滅作戦を決行しようと思う。誰に指揮を任せる?尤もアバター操作になるが」
ダンが言うと、コウタが、




