第13章 震える
そして、この件はもうマコトに伝わった。彼も何かをケイジに感じていたようだ。何と・・凡庸の5人組・・重大な犯罪を起こした中でも一番目立たなく、そして自分をしっかりガードしていた影の男が、こうして表舞台に出て来たのである。そして、この男の参入は、マコトの補佐が不在だった右腕として、素晴らしい辣腕と持ち得ていた特異な才能と知識を駆使する事になるのである。人は変わる・・変われるのだ。シンは何か希望が見えたような気がした。アオイ他4人も、いずれ地上に上がって来る日は遠く無いだろう。
こうして、またシンは本部に戻った。
すぐコウタから連絡が来た。と、言うのも今から20分後にそっちに到着すると言う伝言でもあった。時間差でそれが来たらしく、どうも何かおかしいなと思う感覚でシンが待っていると、アマンが入室して来た。ケイジの事はもう知っていたし、3日後には地下掘削業務を一端棚上げして、マコトと合流し、新たなミッションに参加する事になるだろう。やはり多忙極まるシンであった。だが、むしろその顔は明るかった。
「で・・?補佐が来るって事だけど、どうして連絡がずれているのかな・・」
シンが不思議な顔をすると、アマンが、
「それって・・恐らく新サーバのテストだったのでは?」
「俺・・何も聞いて無いんだけどさ」
「首班専用に、ラン班長が組み上げてホットラインの構築をしたようです。A国地下内にあった、かなり高性能のデータベースを先に解体し、急遽組み上がったそうなんです」
「順番にやるって聞いていたのに・・もう?」
シンがきょとんとする間に、もうコウタがやって来た。
「え!もう来た?」
「何で、驚くんだよ、20分前にそう伝えたじゃないか」
コウタが逆に聞く。
「俺が画像伝達を見たのは今だぜ・・これっておかしいなと思っていたんだが」
「あは・・それはA国との時差かもな・・もう正常になっているかも。つまりこっちに到着した時点で時間は調整されたようなんだ」
「でもさ、何でそんなに早く慌てて送って来る?それも不完全なものをランは何をやっているのかな・・ケンもついているってのにさあ」
益々シンは首を傾げるのであった。




