第13章 震える
「ん・・?ケイジ、お前、俺の顔をじっと眺めて見ろ・・まっすぐ俺の眼を見るんだ」
「え・・で・・でも・・」
「良いから、じっと見ろ、怒っては居るが、危害を今は加えるつもりは無い」
おいおいとシンは思った。今は・・と言った。話の流れでは、それは有り得ると言う話だからだ。
「は・・はい」
ケンジには逆らう意思もない。多分小心な者なのだろう。落ち着きも無く、恐らく遊びの延長で、ノリのような感覚で仲間内で盛り上がって参加したような感じがする。シンも余り今回の事には首を突っ込んでいなかったし、元々目立たない機械製造部に居た者だ。つまり一般組織内人間である。だが、類は類を呼ぶ如く、恐らくゲーマー、DVD等の娯楽から、自分達がまるでヒーローのようになった気分で、バーチャル世界と現実世界をごっちゃにしてしまう事は多々ある。その辺が、やはり内部で抑圧されて来た弊害でもあるのだろう。
「お前・・何で仮面と言うか、自分の素顔をそうやって隠しているんだ?」
「え・・?」
シンも、改めてそのケイジの顔を見た。
「あ・・これ・・分っちゃったんすか」
「分かるも何も・・」
言ったマコトが呆れた顔になっている。
「あれ・・俺も隊長に言われて、今気がついたよ。待てよ・・もうICチップの修正はしている筈だ・・」
そうやってシンがその識別番号を示すと、ケイジの顔が画面にぱっと出た。
全く現顔とは違うでは無いか。今の顔よりずっとずっとまとも?と言えば失礼だが,一般レベルより恐らく美形に針が大きく振れるレベルの顔だった。それをやはり美醜の位置付けをするつもりは無いが・・。
「お前・・それは自由ではあるが、えらい精巧なマスキングをしているんだなあ」
「あ・・はあ。俺達は、色んな鑑賞会と言うサークル仲間なんす。なんで、そのDVDとかを眺めていて、所謂そのドラマの役に成りきると言う遊びをやっていて」
「それが・・和良司令官遊びだったと言うのかよ・・お前達は」
「あ・・はあ・・段々成りきるのが楽しくなって・・エスカレートしたと言うか・・その」
「呆れた奴だな・・」
「す!済みません!反省してます!」
慌てて土下座をするケイジ。それも恐らく何かの演出なのだろう。余りにも大仰だ。




