第13章 震える
「一番先にやったのが、部屋に入った左回りの計器からで、特にどれがどうだかと言う興味よりも、そうしないと、生理的に雑然とするからな。大概の場合、計器類と言うのは連動しているから、一つ分かればその部屋が何に使われていたのか、ほぼ想像出来るんだ」
「成程・・で?この部屋は何だったんだ?」
「ここは、地下深くに相当の杭と言うか、穴を開けて棒状のものを埋め込んで居る。恐らく地下のマグマの観測とか、地震に備えての観測用だと思う」
「そうか・・A国までは流石に日本も地下通信路は掘っていないようだしな」
「あ・・それ・・。恐らく何かの情報で、日本が地下に恐ろしい武器を仕掛けている可能性を想定していたようだ。かなり警戒していると言う記録もあるようだ。嘗ての同盟国=従隷国のように結ばせていた条約を破棄された時から、今度はこちらが攻撃されると、ぴりぴり警戒し監視していたと言う事が濃厚だ。それは、日本だけには限らないがな・・。とにかく日本の鎖国宣言は突然であり、繰り返すが、それまで属国のように思っていた国が、突然友好同盟を破棄したんだからな、相当の動揺もあった事は想像の域を超えて現実論だ」
「まあ・・考えられない事では無いが、それはあくまで確定では無く、お前の想像だよな?尤もそう言う情報は、いずれもっと解析が進めば出て来るけどさ」
ランは、にやりとした。一度にはやりたい事を全部は出来ないし、今はエイジと2人しか居ないのだから、こつこつとやるしか無い訳だ。それに、他に今最も解決しなきゃならない事は、M国の事で不可思議の連続だ。そっちが先だろうと思った。
そこで、ケンはダンにこう進言した。
「どうにか『戒』も動けるようになった。だが、以前のように大地を走り回るのは無理かも知れない。思ったより蜂には深く刺されなかったものの、針が太く、右足の後ろに俺がナイフを入れて咄嗟に応急処置をしたが、足の腱を少し傷つけちまったようだ。この前補佐が診てくれたんだけど、そう言う内容だった」
「そうか・・でも、のんびりすれば良いさ」
「でもさ・・主査が、ひょっとしたら培養細胞で再生可能かも知れないと言ってくれた。それまで、シェルター内が養生場所だ」
「と・・言うか、お前達の寝場所だぜ?ははは。きちんと用意してあるから心配するな、犬もお前と一緒の方が安心するらしいよ、2トップの長さんだからよ、はっはっは」
「犬軍団の俺って一方のリーダーなのか?はっはっは。それも良いなあ」
ケン達は大声で笑った。ダン達のA国基地の足場は出来た。そして、M国探索も待ったなしの状況だ。やはりマコトが呼び出された。
「隊長・・出番です。この前の5人組の中の一人、ケイジに面談して貰えますか?」
シンが言うと、途端に温和なマコトの顔が怒りに満ちた。




