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シンカラス  作者: 白木克之
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組織

「いずれにせよ、シン君、ラン君の機転や、偶然の大発見で、我々は間一髪で助かったようだ。勿論我々はオオコウモリを舐めては居なかったが、こんなに大群が襲って来るとは流石に思っても見なかった・・」

「誰も思わないっすよ、しかし、凄い大群だった。どうしようもありません。良く俺達が助かったと思います」


 マコト副長が力無く答えた。


「いや、助かったなんて、逃げ込む場所が偶然にしろあっただけで、今の状況では言えないだろう・・しかし、一体・・ここは?」


 シリマツ官吏には不可解のようだ。それはシリマツ官吏に限らず、全員の話である。


「とにかく、襲撃を避ける事が出来た。偶然に穴が見つかった。けど、全く偶然と言う訳でも無いっす。だって、この山切りの木は精巧に出来た創り物ですからね」


 リンが言う。確かに何らの予測や、微かであっても情報が無ければ、この切羽詰まった状況でこんな偶然が起こり得る筈は無いのだ。

 マコト副長は真面目だ。だからドストレートに聞いて来た。


「え・・やはり、そう言う事なのか・・じゃあ、シン君、ラン君のどちらかが何らかの情報を得ていて、そして逃げ場が無いか探して、発見したのか?」


 それは聞いて来るだろう。当然だ。偶然である事の可能性こそ低いのだ。ランが言う。


「俺が、企画情報室内で半年異動され勤務していた中で、前時代の遺跡的なものが、このドーム近くにあると言う本当に事実かどうかも分からないけど、あったと言う情報です。それと地下坑道掘削が、俺達実働班より以前より開始されていて、今もその詳細はありませんけど、何等かの近くにその形跡が無いのかなんて事も漠然としながら、思っておりました。この実動目的が、単なるオオコウモリの実態調査や、周辺の植生、鹿捕獲の為のミッションだなんて、シリマツ官吏も少し怒っておられましたけど、違うと感じていたんです」

「すると・・こう言う建造物をその食糧事情も勿論大事だが、建造物を探す事にもあったんじゃないかとラン君が言うのかい?」

「じゃなきゃ・・俺達は、鹿を捕る為に死ななきゃいけないんすか?オオコウモリが、やっぱりどんなに危ない奴らなのかも、これではっきりしたんすよ。こんな網なんて簡単に破壊されているじゃないっすか。こんなのもう無理だと分かったでしょうし。ここで俺達に死ねと言うなら、やっぱり嫌っすよ。負けたままで終わりたくないっす。だから微かな望みであっても、シンの記憶力も頼りながら、この周辺を探した訳です。オオコウモリが大挙押し寄せた場所からすれば、ここは最奥だし、逃げ場はここしかない。けど、ここへもオオコウモリは、必然的に襲って来るのは時間の問題。その中で、この一本に違和感があったと言うシンの話で上を見上げたら、穴が見えた。お・・穴なんて開いていると思い、もし、そこが空洞になっていたら、隠れるスペースがあるかも知れないって網に足を掛けて登ったら、こんな穴だったと言う偶然す。それ以上に、俺達には情報も何も無いっすから、もう、これは奇跡に近い事です」

「そうか・・そうなんだろうな?組織もそんな事が分かっていたら、網を意図してここに仕掛けるとまでは、考えていなかったように思えるしな・・誰もそんな事知ってたら、さっさと逃げちまうわ。ここにさ」


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