第13章 震える
「で・・ここに奇妙なコブがあります。それと同じく50か所はあるでしょうか。泥をこねたような形状です」
「む・・すると、ここがキラービーの巣?」
「今、調査中ですが、かなり一つの巣だとすれば大きくて、そして入り口はこの空間からでは無さそうに思います。一匹もまだあれ程居た筈の蜂は観測されていませんので」
「ほう・・逆方向にそれぞれの入り口があると?それも興味深い話だなあ・・その今度は入り口を発見すれば、蜂の巣とはっきりする訳か。でも、形状からしても自然に出来たものとは思えないよね」
「思えませんよね」
有力な情報がここで出て来た。コウタを呼び出した。そこですぐ検証が始まる。今最も突破しなければならない情報であり、また今後のM国探索にとっての脅威となるものだ。ここは重要だ。
「ふむう・・土蜂・・もともと土中に巣を作る性質でもあるし、凶暴性はA国で大人しい筈の蜜蜂同士の交配を試みたら、恐ろしい攻撃性を持ったキラービーが誕生した。そう言う一代雑種は、本来子孫を残さない筈だが、違った。この種が増えて大変な危機に陥った事があったと言う。今回の個体は、オニヤンマと言う最大の蜻蛉をも凌ぐ。大きさは15センチ~最大が30センチに達する巨大なものだ。攻撃性と凶暴性、更に毒性も非常に強い。恐らく血清なんかでは間に合わなかったと思うが、良くカイがそう言う薬草を作っていたよなあ」
「そこなんだよ・・」
「え?」
コウタの眼がくりくりとする。
「これがさ、日本政府がもし開発していたもう一種の生体武器だとすれば、大葉は何時から開発された?つまりさ・・その毒性に効果がある成分を持つと言うのは、オオコウモリにも見るが、山切りの木にも見られる忌避成分であるとか、連動していると思うんだ。幾ら訓練されていようとも人間のような知識レベルまでは到底届かない生体武器だし、昆虫ともなれば、端からそんな事を求めちゃいない。つまり、自分達にも向かって来る可能性も含めた、その毒素に対する予防薬だ。それが大葉なら説明もつくだろう」
「それは、旧日本政府が基だと言うスタンスだな?」
コウタが聞くと、




