第13章 震える
「どこかへ?」
「ああ・・瀬戸内海海洋研究所に行って来ていた」
「行動力に頭が下がるばかりです。新観測データは御覧になりましたか?」
「あ・・色んな話をしていたので、まだだ・・一緒に見よう」
シンはアマンと並んで座り、M国の新情報を見るのであった。もうケンシンが更に小型して開発したα型と呼んでいるようだ。αMRが不可能だった穴まで進入し、新たな画像をどんどん送って来ている様子が現れた。
「凄いな・・こんな穴には到底探索など不可能だった。奥の更に奥まで進入している」
「ですよね。巨大空間がどこまでも続いている様子が分かります」
「今探索した規模だとゴビ砂漠の約3分の1位まで広がるのかもね」
「まさか・・そこまでは想像もしませんでした・・」
アマンが、くりくりとした眼で画面を見つめている。
「この空間には無線光ケーブル網はあると言う事か・・逆に網羅されていない空間を炙り出す方にかなりの進捗がありそうだね」
「そうですね。刻々鮮明になって来るでしょう。それと・・私が気になった点があるんです。画面を調整しますが、よろしいですか?」
「ええ・・頼みます」
その報告がしたかったアマンだったが、シンが色んな行動をしている中で、こう言う状況になっている事を先に見せたかったのだろう。
「ここです。やや広い空間があります。逆算して考えると、今回我々が斜路を構築した方向にあります」
「あ・・もしかすると・・」
「はい。進入路は複数ありまして、丁度どの位でしょうか・・200M長さ、100Mの幅、天井までの最大高さが推定50M程あり、非常に複雑な地形をしております。そして、ここにも光があるんです」
「ん・・?方向は・・と」
「それを私も把握したのが、先ほどでした。何しろデータベース上に組み込まれるまでのタイムラグが有りまして・・地形的に相当複雑なので、画像データを演算処理するので、20分程掛かってしまうようです」
「この大容量、演算速度が増しているデータベースでだから、相当だよね」
「はい、それと今回のαMRの画像がドット数の関連で、相当解像度的には低いので、その修正処理があるようです」
「成程・・でも、そこまで求めたらいけない部分だ。こんな小型を即座に開発してくれている開発室に負担を押し付けては駄目だしね。ただ、ショウがその辺はもうプログラミングをやっているかも知れないね、ふふふ」
「演算速度を、こちらのコマンドから手を加え、簡素化すると言う事ですね」
シンとアマンは互いに顔を見合わせ、にこりとした。皆が出来ない事は補う。その連携が黙っていても行っていると言う事だ。リンとカイの連携でも分る。彼らは非常にたくましく、シンの補佐をそれぞれ自主的に担っているのである。




