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シンカラス  作者: 白木克之
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第13章 震える

 ダンがそう画面に指示すると、ショウが早速公開したのであった。彼らがどう受け取ったのかは知らない。所詮、ケンと『戒』達の深い心の繋がりなどは、十分に理解は出来ぬだろう。和良司令官の模する行為そのものが、シンが取り組んで来たここまでの努力を踏みにじるものだからだ。だから、マコトもランも、彼等を射殺すると言う意思まで示したのである。必死のケンの形相や、命を顧みないその行動、リンの我が身すら顧みないその動きを見ても感動もしない者は、既に人と言う心すら持ち得ていないのだ。そんな者なら滅びてしまえ・・彼らは、即座に言うだろう。その先の未来とはこの現実であり、見た通りである。この大地の赤茶けた荒野そのものなのだから。

 シン達は、立ち止まった、かなりの広い空間であった。そして幾つもの扉がやはり偽装されてある事を発見する。5つに分れていた。


「さて・・ここも本当に神経質な位に偽装されているよな。これを見ても、単なるシェルターでは無かった事が窺い知れる。だが、何故、こんな部屋があるのに、脱出出来ずに入り口で倒れていたかだ。そこが謎のままだよな」


 シンが言うと、ダンもそこなんだよと、大きく頷いた。だが、彼らは刑事でも探偵でも無い。今有る現実を眺め、有りのままに受け止める。その上で、いずれ真実は明らかになるだろうと打算的に動く部分もある。それは、そうだろう・・シンが抱えて来た諸問題は実に多岐に渡り、今なお組織とはどうあるべきかの直面の問題提起の中で、ここに至るまでに思いもしない事が2つも起こった。

 否・・もう一件のアオイの件はこの際だから、後顧の憂いを無くしとこうとシンが仕掛けた罠だ。本物の和良司令官でさえ手玉にとったシンなら、似非司令官など問題にもならなかった。その上で、公開裁判を行ったのである。これで射殺さえあると聞かされては、物見遊山的な考えは消えるだろう。組織はそこでぴっと締まったのであるが、この蜂は予想だにしない事だった。もし旧日本政府が開発した、オオコウモリ以前の生体武器であれば、無敵とも言えるかも知れない。幾らオオコウモリ群による一斉超音波攻撃で撃破出来たとは言え、それは結果論に過ぎない。ドームは完全に包囲されていたからだ。そんな危ない蜂が制空権を奪ってしまったら、彼らはおちおち野外活動も出来なくなるし、これは地下でも飛ぶと言う事だ。元来そう言えば、スズメバチは土中に巣を創る事も多い。土の中から現れてもおかしく無いし、捕食する対象は・・確かに居る。カマドウマだろう。それも巨大だから、十分に餌になる。


「まあ・・Ⅿ国にはやっぱりと言うか脅威があった訳だ。その点では早めにこちらに戻らせた事については正解だったが、地上で暴れるとは予想外だったな。斜坑が災いを産んだか・・」


 シンが言うと、


「今は、そっちの件はどうにか危機を脱した。このドーム内に居る以上、それ以上は考えるな、シン」


 ダンが言うと、シンも

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