第13章 震える
「辛抱しろよ、針も太いが、何時もショルダーの中に入れてあった。旧日本軍の基地の跡地でな・・」
リンは、それを『戒』の尻に刺したのだった。そして、薬草を煎じたものを『戒』の喉奥にも入れてやった。
「それは・・?」
「こっちは痛みを少し和らげる薬草・・これも大葉なんだがな、これもカイから聞いて、自分で作っていた」
「そうか・・『戒』、俺とお前はずっと相棒なんだ。苦しいんだろうな、俺が代わってやりたい。御免な、御免な・・お前を危険な眼に合わせてさ・・う・・うう」
再び泣くケンに、リンは、
「泣くな、ケン。他の犬達がじっと心配そうに見ている。見守れ、こいつは、強いよ・・恐らくバットで殴られたより数倍も痛かっただろう。そのショックで絶命する位の痛みだっただろうと思う。耐えているんだ、強いな、お前・・『戒』はよ・・く・・」
リンが優しくその体を撫でた。リンの眼からも涙が零れていた。
「あ・・蜂が落ちた・・少し地上でばたばたやっているけど・・」
ショウが言うと、
「コウタ・・お前、操れるだろ?回収してくれよ、アームを使って。そして、すぐキョウやアマンに生体を解析をして貰う。ショウ、蜂の種類は分ったか?」
シンが画面指示をする。
「巨大オオスズメハチ・・キイロスズメバチ・・恐らくMIXだろう。これは生物兵器だよ、まさしく。自然界ではこんな交配なんて出来ない・・」
「これが地下都市の隠し兵器か・・この数に対処出来る武器は存在しない。相手は逃げるだけだもんな・・」
ダンが、
「このミッション、何度も横やりが入るが、警鐘を鳴らされているような気がする。ここにもキラービーが居たらどうするよ・・」
青い顔になっている。




