第13章 震える
「どうした、どうした」
ダンが聞く。
「化粧で何となく、ヒントを得たよ。これって・・化粧塗料なんだ・・」
「はっはっは・・今のイレギュラーは、こっちに来る前に知っていたが、アオイがヒントになっちまったってか。ああ・・そうだ。これをブラックライトで照らせば、扉・入り口が見えるんだよ。でも、俺達は、明るい灯の中で一生懸命這いつくばって探していたから、めちゃくちゃ時間が掛かった。ブラックライトが備品のデータの中であったので、もしやと思って、こっちに送って貰ったんだよ」
「長波の方だな?」
「ああ・・長波の方だ。短波では分からない」
「じゃあ、消してくれ。勿論手に持っているんだよな?」
シンが言うと、
「ああ・・そうだ。そして、安心しろ。変なガスや、爆封の危険性は無い。ここにはな」
「成程・・それでようやく、目的の一端が見えて来そうだぜ。ラン、頼む。お前が先だ」
「おうとも、任せておけ」
ランが先頭に入って行く。それは階段だった。実は安全確認は小型MRでやっているが、ダン達も入るのは初めてだった。ここは、シンに真っ先に見せるべきだと思った。今回は勿論バーチャルじゃ無かった。その様子を何時の間に?と言うか、恐らく他のチームが戻った時に、彼らも同時に本部に戻っていたのだろう。ついでと言えば失礼になるが、もしアオイが使える奴ならば、大抜擢もあったかも知れなかった新たな人材発掘のチャンスだったが、それは無かった。ただ、その変装術は見事だった。ただ、そんなものは何の役にも立たないものの、十分に和良司令官に成りすませ、和良党の設立位は出来たかも知れないが、残り4人も極めて凡庸であった。
その彼らは今度は全員同じ空間のドームに集まり、ケンと交信をしながら、シン達の様子も眺めているのだった。勿論、これもミッションの一つであり、気を緩めては居なかった。
「とにかく、無駄な時間だった。これだけでも大事なミッションの邪魔をされたんだからな、100叩きでも済ませられない気持ちだ」
マコトはまだ怒っていた。
「隊長・・その腕でしばかれたら、3回であっちの世界に逝っちまいますよ」
カムイが苦笑いしながら突っ込んだ。




