第13章 震える
極端な事を言ったのは、マコトだった。許せないのだ。顔形まで和良司令官そっくりに加工し『整形では無く、美術系の手合いで化粧しているのである』所謂宗教や、信奉者に近い和良司令官連のメンバーだ。それが5人、こんな時に出現した事にある。だが、その動きはもっと以前からあった。それだけ和良司令官と言う存在が神のように崇められ、一部の者達によって仲間が作られていたと言うものだ。だが、それは所詮、仲間であって、今回のようにパソコンに進入し、機密情報を盗み出し、組織内でその活動を強化するような動きでは無かった。これは、重大なテロと同じだ。もっともっと彼らが実際にやった事は沢山あった。その流石に射殺の声を聞いて、顔面が蒼白になったアオイだった。
シンの声が聞こえた。
「判決が下ったようだ。もはや君の弁論など無用だろうな、裁判官が下した断には、否やは無いよ、アオイ君。こちらは、今から重大局面だと言うのに、とんだ藪蛇だよ。非常に憤慨しているぞ・・おいっ!、お前っ!」
シンが激しい怒りの表情をした。びくっとなるアオイ達、これは本気だ。今まで遊び感覚のようなもので、仲間でごっこをやっていたつもりが、その逆鱗に触れたのだ。首班は国で言えば大統領、そして自分達が信奉する司令官でもある。そして穏やかなシン首班を本気で怒らせたのだ。わなわなと四肢が震え、アオイはそこにうっ伏した。
「自分がっ!自分が間違っておりましたあ!どうか、どうかお慈悲を下さいっ!もう二度と、二度とこんな事はしませんっ!」
そこで、コウタが・・
「おい、反省したと言うんだな?それには二言は無いよな?」
「はい・・はいいいっつ!」
何度もアオイは床に頭を擦りつけるのだった。
「ふう・・やれやれだ。言っておくが、一発で君は死刑にも相当する扇動行為をやった。一昔前で言えば、それこそテロ行為だ。だが、幸いにも他国に情報を流すにしても、今の所その存在は、確認出来ていない。そして、幾ら巧妙にやろうとも君達の技術は、赤ん坊のようなものだ。が・・これは、お前達が遊びのつもりでも度を超えているものだ。だから、きついお灸を据える事にした。隊長の言葉が冗談だと思うか?本気でやるぞ、それにここにラン班長が居たら、即銃殺されていた。君も我々の行動を盗み見したのなら、どれだけ大変な扇動をしたのか分るだろう?或いは自分本意のハッカー行為をして、実力を誇示したかったのならば、笑止だ。君らは完全に動きを見ぬかれていた。しかし、俺達が何でバーチャルをこうやって展開していたのか、分かるか?」
「い・・いえ」
「だろうな、それは、危険だからだよ。俺達がもし地下都市に無防備で進入したのなら、爆封される可能性があったと言う事だ。もう一つ、まず考えられる事は、その中に量子発電、量子コンピュータが作動している可能性がある。その理由が分かるか?」
「あ・・いえ」
「ふふ・・それ程度しか答えられないんだな?やっぱり君達はただの覗き魔に過ぎない。半年間、地下掘削道で重労働をしてもらうよ、良いな」
「は・・はいぃいい!」




