組織
「何か気付いたか?俺には、細工があるような気がしていたんだ。人工的にこの木は正確に植えられていて、何かの区画を現しているようにも思っていた」
「そうか・・それでは調べよう。オオコウモリも、こっちには不思議と回っていない。それは、オオコウモリが同じ方向から飛んで来て襲って来た・・つまり、居住地方向からだよな」
ランが冷静に見ている事は分かった。シンも同じように見ていたからだ。しかし、そんな事を褒め称える程時間も無いし、それがどうした?と言う話なのかも知れないが・・
シンとランは、山切りの木をじっと観察する。他のメンバーの声がずっと聞こえている。全くこちらなど見る余裕も無いだろう。彼らは2人の行動には全く気付いていなかった。
10分程して、シンが少し大きな声。
「ラン!」
「お・・」
シンが指差した樹上の一つのこぶに、空洞が見えた。それは、この網に足をかけ、オオコウモリも居ないから、上がれる高さと直径が60センチ程もある穴だった。これまで気にもかけた事も無いので、気がつかなかった穴だった。他の山切りの木には、穴なんて開いては居なかったなと思いながらも、しかし、何か不自然なものをシンはこの木に感じていたのだ。
「ラン・・登って見よう。オオコウモリに気付かれない内に。ひょっとしたら空洞が開いているのかも知れない。もし、大きな空洞が開いていたら、オオコウモリの襲撃から、全員が一端逃れられる可能性もある」
「おう」
二人は、さっと登った。確かにこの木は、何か不自然だった。他の山切りの木と変わりがないようにも見えるが、すぐ横にある網は、30センチ幅で足場にするには結構丈夫であり、山切りの木に登るのに苦が無いものだった。オオコウモリは襲って来なかった。6人が対処している付近に最も多く集中しているからだ。その裏側とも言えるこの場所には居なかった。その網から、ランがロープを取り出し、木にくくりつけると、穴に到達。ランが少し大きな声で、
「シン!穴が続いている、真っ直ぐ下にだ!」
穴から下を覗いたランが声を上げる。
中は大きな空洞になっているようで、やはりこの木は生命感が少し感じられ無かったと言う事もあって、慎重に見れば、ほとんどイミテーションだと言う事が分かるのだが、それは精巧に作られていたのだったである。シンも穴に、そして覗くと、
「穴の奥には明かりが見える・それに・・ここは・・」
シンが驚いた。その山切りの下は梯子になっていて、真っ直下7M下に平行道が続き、そのから光が射していたのだった。すぐシンは判断を下した。