第12章 ついに存在を
「成程・・それは分ったっすけど、じゃあ俺の感じた事を言う。まあ、雑談形式の方が俺自身は喋りやすいしな。この12通信路、迷路状構造に謎の大きな一端が隠れている気がするんだよ。位置的は今言う北から侵入した地底湖の西側にそれはある。その通信路がこれまた迷路状だが、ショウがMAPを整備してくれたお陰で、今から立体画像を出すよ、良いかい」
「いきなりか・・まあ、良いけどさ」
シンは仕方が無さそうに許可をすると、リンが説明を始めた。今、地下空間、都市の事を論議しようと言う間なのかも知れないが、それは別議題のようにも思えた。
「・・で、このように今示した構造は、螺旋型形状の中に3つの空間があって、他は途中で遮断されていたり、ぐるぐると回って元の場所に戻って来る構造なんだよ」
「で・・?何が言いたいんだ?」
「迷路をわざわざ作ったり、肉食恐竜が出現した経緯は、地下通信路はずっと灯りが無い状態だった。そこへ灯りがついた・・この空間への通路は見ての通り案外短いと言う事だ。だから灯りに誘われて出現したと言う事だろう?」
「確かに灯りのある空間では、真っ暗闇の中でも行動出来るヤモリやカマドウマ風の昆虫とはそもそも違う。彼らは視力を必要としないと思われるからな」
そこは、コウタが相槌を打つと、
「それまでは真っ暗闇の通路に、この生体が行ったり来たりする事は無かっただろう。まして、動きが緩慢な草食恐竜は特にその空間でどれだけの栄養素があるのか知らないが、もくもくとゼニゴケを食べているだけだからな、また不可思議な事にこの肉食恐竜については調べられないと言う事もあるが、何を食しているのか、排泄物すら見つかっていない点だ。これだけの巨体を維持するのに、そんな事は有り得ないんだよ。運動エネルギーをどこで得ているかなんだ」
「おい・・ラン。そこが今重要な話か?ここに居る主査も室長達も、それを調べに来た話だろ?今ここでするのは、やっぱりお前は自分本意の会話に持ち込もうとしているじゃんかよ」
コウタが突っ込む。しかし、ランは、
「いやいや・・とんちんかんな別話題をしているつもりはねえんだ。だからもう少し言わせてくれよ」
「良いだろう。雑談の場だと俺も許可しているからな」
シンは苦笑しながらそう言う。
「じゃ、その次にこの空間の地上からの位置は地下深度をこの立体画像を検証すると、1キロの比較的浅い部分にある。そして、地底湖から恐らく伸びているのだろうし、この地底湖とこの通信路及び空間は、直接的には繋がらないと言う点なんだよ」
「支離滅裂な事を言ってらあ・・地底湖の上にはこの地下都市がある。そして地底湖のすぐ上には確かに地下通信路は無いものの、地下都市に繋がっている可能性はあるだろうが、何で上部にある地下通信路と空間が、地底湖に繋がっていないと言い切っているのの、地底湖とこの地下通信路と空間が繋がっていると言うんだよ」
そこもコウタが突っ込んだ。




