第12章 ついに存在を
「その量子コンピュータがあれば把握可能と言う事か?」
コウタが聞く。
「補佐・・流石にその辺のプログラムやその他を整備するには、俺が1000人居ても無理だ。でも、部長に聞きたい事があるっす」
「はい・・何でしょう?」
「今MSI飛機の自動運転や、MRの飛行や、制御、画像のやりとりなど、その辺をどう管理しているんすか?ショウは、送られて来た画像を整頓するプログラムは作ったものの、それ自体が制御出来るものじゃ無いっすからね。その辺を聞けば部門の丸秘条項もあるだろうし、それぞれの部署には関与しないってのが、暗黙の了解って言う事でこれまでやって来ましたからね、だから聞けなかったんで・・あ、雑談っす」
「おい・・雑談レベルを遥かに超えているぞ、それは」
コウタが突っ込んだ。シンが、
「はは・・だからカジやカイも絡んでいるのさ、奴らがどこへ左遷されたか、飛ばされたのかと言う話も、ちらちらと聞こえた。何も秘匿していた訳でも格下げした訳でも無いよ。つまり、部長の所にはこの組織の重要なメンバーが常に集結し、側面からサポートしているんだよ。この際だから、その辺を秘密部署とか言うなよ。それならアマンはずっとそう言う部署だったし、今もそうだからな。カンジだってそうなる」
ケンシンが、
「つまりそう言う事です。この制御及びシステムがどうなってるか、それは各拠点にポイント・・つまり転送出来るルーターがあるからですよ。自動と言っても、ルーターから指示し、移動する範囲、距離などを伝達しているだけです。リモコンと同じですからAIが管理しているような訳ではありません。画像も同じです。あらかじめ枚数など決めていませんし、撮影してそのまま転送する訳ですから、どんどんサーバに溜まります。その辺は、旧式と雖もその程度の容量はあった訳ですし、近年20Dプリンタが使えるようになっておりますしね、原料さえ尽きなければ、その辺の機種のコピーも可能ですから。要するに大げさに考えないで頂きたい。私の口癖ですが、単なるシンプルなコマンドのみを実行させている器に過ぎません。そこに人工的な知能など必要無いのです。もし今言われた量子コンピュータ・・以前量子発電、高分子砲の事も言われましたが、それを御するAI等今は求められていないのです。でしょう?その理由で月には人工衛星ならぬMRが周回している訳ですから、それをルーター化すれば、今行っているアバターのバーチャル作業や探検も可能だと言う事です」
「ふうん・・でも、凄い事をさらっと何時も言われますよねえ・・それがどんなに高度な事かを知っている者が、そう言う質問を敢えてしている訳ですからねえ」
コウタは斜めならずケンシンを褒めた。




