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シンカラス  作者: 白木克之
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第12章 ついに存在を

 サナギが突っ込んだ。*サナギもいずれ、又異動もあるだろうが優秀なマルチ学者でもある。ここで、実働班に当初加わっていたカイや、カジなどの名前が登場して来ないが、彼らは優秀なやはり植物系の博士達だ。しっかりと内部の活動もやっている。いずれ、この地にも派遣されるだろうが、その前にこの場所は、非常に謎が多いのだ。有史以来誰も発見もしていない正に秘密のベールに包まれた場所である。

*サナギは、彼らと今後同じ班でやって行く事になる。


「ええ・・それは分かっているけど、つまり、色んなルートが実はあったと言う逆説になるのでは?」

「ふ・・確かに強引に陸上から斜坑は開けたがな・・それでも、この空間自体には和良無線光ケーブル網が弾かれている事を知らねばならない。だからMRが画像を映しだしているのは、昔にあったドローンと言う機種の応用さ。知らなかっただろ?」

「え・・そうなんすか。知らなかった」

「つまりさ、和良司令官がこの政府極秘プロジェクトを探していた目的と、各国のやはりシェルターの存在、地下本部などを把握する目的と、もう太陽系まで網羅するこの光無線ケーブル網に対する何等かの穴があった訳だよ。だから、逆に俺達はその穴を逆に突き止めたって言う次第さ。そこには、ここに居るランのA国地下本部からのデータベースとなるものの取得が大きい。また、強烈な太陽フレアであるとか、電磁パルス爆裂が月にも影響があったと見るのが、今の見解さ。だってそうなるだろう?それこそ常識的な考えとして」

「知らなかった・・」


 エイタは黙った。しかし、コウタは、


「良いから言って見ろよ、何を思った?」

「そこまで秘匿するには、とてもでかい事を計画していた、中枢であると思うんすけど、益々今の話を聞けば、完璧とも思えた和良無線光ケーブルにも穴があった訳じゃないですか」

「ふ・・確かにな。でも、それも逆説で言うと、今のMSI飛機やMRが光子の反発、逆流を利用して浮かんだり、進んだりしている訳だから、それを反発させるものがあると言う事だ」

「そうっすね・・それをまず見つける事か・・それを知れば、ここが何かの一端が見えて来る」


 そこでケンシンが、


「エイタ副班長、それを私の所の部署で今後研究して貰うのが君の役目なんだよ、重大だよ」

「は、はいっ!」


 ふふふと、アマンは笑った。実に様々なアプローチが待っている。それもあるからこそ、ここに集合しているのだと言う本分がまず必要だ。その上で雑談するにしても、このメンバー達の今最も知りたい事はこのテーマしか無かった。

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