第12章 ついに存在を
ははは・・彼らはどうにか落ち着いた気持ちになれたようだ。ずっと緊張状態でここまで来た。だから、食事タイムをいきなりシンは言うが、そう言う部分も誰もが真似の出来ない気遣いなのだ。
エイタが、この雰囲気の中、こんな事を言った。
「あの、雑談形式で質問可能っすか?」
「遠慮は要らねえよ、何でも言えよ、エイタ」
彼は、エイジとは親友だ。共に理系の優秀な副班長でもある。彼が言うと、ランが苦笑い。お前が言う場面じゃねえだろうと・・。ランも色んな場面で、それが彼の個性だし、前から言うように自分の得意分野、やろうと思う事に対する技能やその潜在的能力は、誰も適わない突出したものだ。これも優性遺伝子5と言うものなのだろうが、その才も、時々組織と言う決まりの中では逸脱する部分があって、叱られる。今回は、もう何度もそれがあるから普通なら、おいっと突っ込みを入れる部分だった。
「じゃ、聞きます。首班、このM国中枢と思われる場所は、『龍の穴』とか言われていた古来からの空間と思って良いんすかね、どう見ても自然に形成されたものを利用したように思えるんす。それに明確な通信路も無かったじゃないですか」
「おっと、雑談なのかい?それは今から検討しようと言う主題の先取りだぞ?エイタ」
コウタが流石に突っ込んだ。
「あ・・済みません」
エイタも頭を掻いた。
「良いよ、どうせ眼前にこう言う空間があるんだ。こっちの話になるんだからな。このままでざっくばらんに自分の意見を出して行こうか、その方がむしろ良いかも知れない」
シンもそう答えたので、エイタは、
「つまり、そう言う場所が秘密扉、或いは通路だとして、この地底湖が最深部では無く、地上から2キロの深度にあると言う事は、リン班長が深海から進入路を探っていたように、地下水脈がヒマラヤ山脈から流れて来ていると言う事ですよね」
「まあ・・そうなるよな、うん。河は高い所から低い所に流れる。ガンジス河は消滅しているが、地下水脈で繋がったと言う事になるのかな、やっぱり」
「それは、とても広大な支流も形成していると考えるのが自然すよね」
「ん?それは常識的な話だぞ?何が言いたい?」




