表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンカラス  作者: 白木克之
1306/1722

第12章 ついに存在を

「で・・すぐに俺達がこの地下都市に侵入するリスクは負えない。だから待機して貰ったし、今360度パノラマのバーチャル画像の中に俺達は居る。お前達の話じゃないけど、カンジが示したのはドーム群だった。けど、違うだろ?この地下都市はドームじゃない。何かの土柱のようでもあり、鍾乳石状でもある。つまり、自然に形成された巨大鍾乳石を利用したような構築物に見える。だから、前時代の遺伝子に刻まれた情報と言うのは、怪しい理論だろうな。ただ、人間には不可思議な感覚は確かにある。ケンやリンはそれが特に強いから、勘と言う部分で片づけられないものも無数にあるさ。それを言うなら犬達の持つ嗅覚とか、聴力と、超音波を聞き分け出来るリンであれば、恐らくあいつが良くやっているホーミングを使って、見えない部分の物体を大まかに把握する事も凡そは分ると思う。それ部分的なものだけを拾って、カンジはとても優秀な学者なのに、超能力者のように言わないで欲しい。だって火薬を使った振動波で、このM国地下の様子は、かなり科学的方法で得ているんだよ。その中で頭の中で、こうじゃないかなと思う部分は、想像の産物でしか無い。その辺は俺はとても現実主義だ。つまり、見たものしか信じない。その辺をごっちゃにしていたら、今から行うこの地下都市の分析は始まらないぞ?だから怒ったんだよ、本音を言えばな。俺はそんな立派な人間じゃねえよ。腹を立てる時には自分でも何で腹が立っているのか、コントロール出来ない部分があるからな、そこは主査にフォローして貰うわ、ははは」


 はははは・・・そこもやっぱりシンなのだ。ケンシンは眼を細めた。もう完全に心酔者の一人となっている。でも、確かに言われて見れば、確かに超能力と言う部分は、現実的解釈で説明できるのかも知れないと、自分も彼らの能力を、或いは人間離れしていて畏怖している部分があったのかも知れないと思った。シンは自分は人間であるとはっきり言っている。そこに境をつくるなと言う事なのだろう。こう言う話術で彼らを目的とする主に向けさせているシンだった。彼らはやっと集中する事となる。


「じゃあ、じっくり見て行こう。ある程度MRが今も情報収集だから、刻々とサーバにデータは送られている。だから集中的に、ここはとても旧ドームなんぞ比較にならない、地下空間だ。完全なる要塞のような場所なんだからな」


 ここを発見した。もう1年にも及ぶ探索の末に・・そして、ここまでのルートはもう開通したのである。この先を見ようと思う気持ちは誰も同じだ。しかしそこで立ち止まる冷静沈着な判断を出来るのがシンなのだ。だからこそケンシンを実働に初めて同行させている。その理由もこの360度パノラマのまさにその場に臨場しているような映像を見れば、意図が読めて来るのだ。それは、ここに居るメンバーが理解出来た。


「一つずつ見て行こう。ここは、地下都市を見下ろせるかなり広い場所だ。ここで待機するのも十分だ、*チッパでも食うか?とりあえずさ。腹が減っては戦も出来ないって言う言葉もあるじゃないか」

*チッパとは以前にも紹介しているが、完全栄養食だ。彼らは肉体に応じてその量の加減も違う。排泄物が出ない。完全に体内に吸収されるからだ。そう言う食に関するものが、和良クラゲとか擬ガジュマルの木のヤドリギに成る果樹であるとか、とても豊富になっている。鹿の飼育場を創った事も、シン達の功績だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ