第12章 ついに存在を
「すまん、首班。お前の本旨を俺は全く理解していなかった。もう遅いよな、今頃お前が俺にとって一番の友人であった筈なのに、呆れているだろうな」
コウタも、同じく、
「俺は・・今回のミッションをまるで理解していなかった。やっと迷路状の地下通信路が地底湖の上にある事を思い出し、そこからが本当の探索になった」
シンは、
「いや・・部長も主査もそう言ってはくれたが、俺は、自由にお前達が動けてこそ、本来の力が発揮できると思っていた。それは思い上がりかも知れないが、俺は自分の思う事を相手も同じように理解してくれていると錯覚していた部分がある。今部長や主査に、言葉の足りなさを痛感しながら、こんなに周囲に気遣いさせていた自分を責めている。俺こそ御免な、言葉が足りなかった、悪かったよ」
マコトの顔色が変わる。
「な、何を言う!シンがここまで居てくれたから、今の俺達に自立心が芽生え、やって行こうって言う考えになったんだ。俺だって、今まで自己本位で、思い入ればかり先行し、勝手な行動をしていた。今ようやく分ったんだよ、俺達が口先ばっかりの理解している風を装っているばかりで、一番大事なものは何かだってな・・それはこの全員で一つの目的を達成すべきだ。そう強く思う」
マコトが言うが、彼らの気持ちはとっくに分かっているし、この上の無い友でもある。そうで無ければ、とっくに心すら無くして無機質に生きて来た彼らが、ここまで集団行動がとれる事等無かったのだ。そして、シンは、360度スクリーンを全員に展開しながら、
「で、何かデジャブ―とか念写・転写の超能力の話やら、どうたらこうたら言っていたようだが」
「全部聞いているじゃん・・」
彼らは眼をくりくりとした。
「だから、俺達はお前達をバックアップして来た。当たり前だろ?監視していたと思うか?」
「あ・・いや・・」
彼らは黙った。会話の中から色んな情報が飛び出すのは常だ。だから、これ程の者達が集合した時に思わぬ発言が飛び出す。




