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シンカラス  作者: 白木克之
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第12章 ついに存在を

「すげえ・・これって、俺達がまるでこの空間に居るようだ」

「当然MRは寸刻も休まず、地底湖及び、今もなお侵入可能な洞穴内部まで飛び回りデータ収集をしております。寸刻先には又新な画像が追加されるでしょう。敢えて、首班がここで貴方達に分析して貰いたかったのは、この建物の立地状態とか、この空間の存在・・つまり人工的部分と、自然形成部分、どんなシステムが例えばどの建物にあるだろうか・・それはデータベースで見えるでしょう?何でそっちを確認もせずに、A国のシェルターの話をされているんでしょうか?貴方達のミッションでしょうか?私も補佐のサポートとしてずっとその動向に着目し、また集中もしておりました。危険な事もあってはならないと、首班は全てのミッションに、針の穴も通さぬ程集中をされていたのです。ここで気を緩めてはいけませんよ、首班の代弁として私が言わせて頂きます。ラン班長、貴方は規律違反でレーザー銃まで持参された。しかし、それは有効利用と言う事で、貴方がカムイ副班長と共に改良もされた由をご存じだからこそ、面前で怒られながらも、補佐の班で挽回をする事で不問にされた事を、もう忘れておられる。私に意見を述べさせて貰えるならば、貴方は全くその首班のお心に甘えてばかりで、何も本旨を理解しておられないと存じます」


 ケンシンは、シンの代弁を厳しい言葉で叱責したのだ。誰よりも身近でずっとここまでやって来たからこそ、彼らの緩みが許せなかったのだろう。項垂れるランであった。コウタも反省をしていた。だが、アマンがそこを女性らしくカバーする。


「この度・・ミッションにこの2組を残されたのは、最重要発見だと言う事です。何の為に、上にケン班長を待機させて居られると思います?この地下空間に思いもせぬ事態が発生しないとも限らないからです。だって、そうじゃありませんか?恐竜の存在、大蛇の存在すらも分かっていないのです。地底湖は今も探索中です。鰻と微生物とゴカイのような生体は、確認出来ました。共に大発見だと思います。そこでの食物連鎖は成り立つものでしょう。ここまで皆様は、本当に緊迫する状況の中で何が起きるか分からないと言う不安もお持ちでしたでしょう。それ以上に首班は誰一人として危険な眼に合わせてはならないと言うご信念と強い責任感で、ほとんど睡眠時間もとらず、本部でモニターを眺められていたのですよ。そこを良くご理解下さい。そして、このチームと恐らく我々残存人類が到達した、待ち望んだ希望があると思うからこそ、一緒に行く覚悟で来られたのです。もう一度、首班は思う事を多弁されませんが、私には本当にそのお心が良く理解出来るのです」


 ぽろぽろぽろ・・自然に涙が零れた。自分達が庇護されている事も知らず、そうして一番大事なミッションを託してくれた事も知らず。一緒に行こうと待ち望んだ、今回最大のミッションをこのメンバーに託してくれていたシンの本意を、やっと彼等は知る事になったのだ。ケンシンもシンと仕事をするようになって、やっとこの人物の偉大さと大きな包容力を知ったのである。そして常に傍に居るからこそアマンも誰よりもシンの事を理解していた。彼らは優秀だ、それはそうであるからこそ、一人主義になるなと言い続けて来たのだ。ランは、あれだけ何度も言われても、すぐ忘れてしまうようだ。それが彼の個人主観だとしても、組織に居る以上、そしてここは戦争ゲームや策略を練る戦いの場では無いのだ。自分達のミッションが何故そこにあるのか、それは自分自身で読み解かねばならない。シンはずっとそれをやって来たのだ。彼ら程優秀な者達が、その自覚を持てばそれが出来ない筈は無い。

 ランが真っ赤な眼をして・・

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