第12章 ついに存在を
「で、あれば、当然そこには機密情報が入って行く。AI主導のシステムとはいえ、最終的なコマンドは司令部が持つ。これはどこの国でも変わらない根本っす。確かに大型のデータベースとか大容量のパソコンは無いけど、この状態は、シェルターに緊急避難とかそんな形では無いように思えた。何故なら、慌てふためく様子が見てとれる。どこのシェルターであろうとも、必ず予備電源は備えてある。それを使った形跡が無いんだよね」
「何故・・そんな事が言い切れる?」
マコトが聞く。それをカムイが答えた。
「それは俺にも分ったっす。シェルターの構造自体は、もうデータベースに落とされているから、俺も見たけど、懐中電灯を握っているじゃないっすか。そんなもの、何時の時代なんすかって話です。俺達でさえ、乾電池なんてもう見てもいません。小型のバッテリーはあっても、そんな数時間程度の、また灯りも弱い旧式も旧式、化石のような器具を持っている事自体が変でしょう。持つなら小型バッテリー搭載の簡易電灯だ。それなら1か月、2か月なんて点けっ放しでも大丈夫だだから、それも自発式といって、自助充電や発電もするんすよね。太陽光とはまた違うけど、使用した電気を循環させるんすよ。段々使える耐久度は下がって行くけど、その時に本電力があれば充電出来るから、また100%の状態に戻る。だからこそ、100年或いは200年程度持ってもおかしくはない。それがそのまま保管状態である。そこは気づいていました」
「ほう・・お前達は、そこに着目していたのか、なら、本当にパニクった原因がその通信データにあると言うんだな?」
「ええ・・」
そこへシンが、アマンとケンシンを連れてやって来た。
「ええっ!もう首班が?」
驚く彼らに、苦笑しながらシンが、
「おうお・・一席ぶっていたじゃないか。ったくお前らは、こっちの探索をしていたんじゃ無かったのかよ、今お前達が必要なのは、眼の前の都市構造の生きたデータじゃないのかよ。A国の情報がどうした?今必要か?そんなの副首班がとっくにやっているよ、その為にショウを派遣しているんだからな、相変わらず、ランはそっちの分析ばかり興味を示して、一番大事な眼の前の分析をやっていない。何の為、ここに待機させた?休憩や遊びで派遣しているんじゃねえぞ?お前らはよ」
しーんとなった。ぴりっと締まるメンバ-達だった。ここへシンがトップとして来た意味を、確かに彼らは着目せねばならなかったのだ。それをランのペースに巻き込まれてしまったとはいえ、雑談に勤しんでしまった。やっぱりそこはシンなのだ。ケンシンが、
「まあまあ・・首班のご立腹は尤もですが、皆さんにこれを持参しました。御覧下さい」
空中スクリーンと言う。それはケンシン部門が旧時代の6Dスクリーンを7Dと言う部分的レベルアップに改造したものだった。まるでそこに自分達が居るようにリアルなバーチャル画面が360度に広がった。




