第11章 次々と・・
ここは丸く収めて、ははははと笑い出す3人に、ケンシンはもうこのメンバー達は全て互いに分かり合えているんだと思ったのだった。
そして・・それは現実にシンの予想が的中したのであった。
ご・・ごごご・・重い扉だった。何重にもそれは奥まで続いた。そして鍵は全て開錠されていたのだ。そして扉の前で白骨化した人間が倒れていた。ダンが、
「離れろ・・今内部の空気を入れ替える。一旦退避だ」
ケンシンは眼を丸くしながら、
「正に千里眼・・首班の眼は全て見通していたようですね」
「いや・・たまたま邪推した考えが当たったようっす。こんな事は、偶然っすよ」
「いやいや・・そうは私も思えないです・・」
ケンシンは、驚き過ぎてそれ以上はもう言えなかった。
「首班、俺の負けだ、見事にお前の言う通りの現状だ。灯りは点灯したが、すぐには踏み込めない。遺体も片付けないといけないし、埋葬する為の準備もする」
「ああ・・そこは月基地でもやったように、カプセル埋葬がその時代の主流だったそうだ。その辺は、手配しよう。部長、大丈夫っすね?」
「ええ・・大丈夫です。幾つ用意しましょうか?副首班」
「あ・・それを空気の入れ替えが終われば、確認します。一応防毒マスクもして入室致します、118年以上も経ている訳ですからね、中の空気も相当悪くなっているでしょう」
「ですね・・お願いします」
と言う事で、このシェルターは、やはり軍の最高司令官クラスの居住用だったようだ。長さも50Mで幅も30Mある。水は地下深くに井戸を掘ってあり、そこから汲み上げるようになっており、浄化槽もあるし、部屋も20部屋以上に分かれていて、様々な最新機器が並んでいた。遺体は5体であり、意外にも少なかったが、食料は殆ど手付かずであった。つまり、シンの言うように、地球大異変時に同時に攻撃された事を意味する。5人しか居なかったのは、極く身近な家族、或いは休暇中のスタッフと簡単な団らんを楽しんでいたのかも知れない。慌てふためいて、手にはLED式の旧時代の懐中電灯が握られていたようだ。つまり真っ暗になって、右往左往したのかも知れない。その様子も見てとれた。死亡推定日時も不明だが、この環境の中ではすぐ空気は淀み、入れ替わりも無いのと、腐敗した食物や、空気清浄機に内包されるカビや菌類が汚染して、そう長くは生きられなかっただろう。入り口で倒れていたのは、慌てふためいて転倒し、どこか頭でも打ち動けなくなったのかも知れないし、悲観して自死したのかも知れない。2名の傍には銃が落ちていた。そして残り2名だが、どう見ても抱き合ったまま息が絶えた様子なので、それぞれの伴侶か、女性スタッフかも知れない。日本と違うのは、生殖機能が退化した男性も、伴侶は精神的支柱によって持てたと言われている。それは形式的であっても、その国の分化意識であり、他国がどうこう言う事では無い。こうして、そのままでは全てを整理する訳にはいかないので、生物班も呼び、そこで菌類等も採取し、その中に落ちていた種数種を回収、徹底してその後除菌を行った。それは簡単な方法でpHの強アルカリレベルを11以上に上げると、殆どの菌は死ぬ。それで除菌を行い、約3週間後に機材を日本に運び込む作業が行われるまで、ダンは、そこに残った。後はエイジを彼の下に戻らせてある程度のスタッフと、もう少し周囲の探索を継続する事になる。




