第11章 次々と・・
「慎重っすね。良い感じです」
シンがにこりとした。マコトが勇猛果敢な将軍気質である事を承知しているし、その膂力においても、今回ケンと並ぶ怪力の持ち主だ。しかし、それは所詮人間レベルのもの、またMSI飛機が前に防御しながら先行しているとは言え、後方にも勿論MSI飛機やMRが監視護衛もしているものの、何が潜んでいるのか分からないM国地下空間なのだ。事実恐竜のような巨大生体が居たし、巨大アナコンダも存在した。この斜坑がシン達が作ったとはいえ、どこかにやはり無数に繋がる洞穴も存在する。この地は縦横無尽に、人工的構築物と、自然創生の洞穴が無数に走っているのだ。そして地磁気を狂わせる何かの存在もある。何かの特定が出来ていない以上、そう形容せざるを得ない状況だ。だからこそ、冒険はしてはならないとどのチームにも厳命している訳だ。それにデータベースで情報が共有になったからと言って、幹部以外の閲覧も禁止している。当然なるその事で、ハッカーがアタックしようものなら、逆ハッキングのトラップも、ショウが用意してあった。以前シンが訓示したように、組織である以上、一つの目標を持って突き進もう。その為には自分達が今やる事に責任を持て・・その言葉が浸透している為だ。そしてやはり神野元老、黒川主査の存在も大きい。十分に顧問役として支柱になってくれているからである
そして、今度はキョウに合流したアマンチームが、報告をして来た。
「分かった事があります。勿論本部に持ち帰っている様々なサンプルにおいても細部にわたる分析をされていると思いますが、こちらで以前よりデータ化した分析表と一致する成分、或いは鉱物元素につきましても、同様に行いました。結果、20数種の不明成分が検出されております。データベース上にもその存在が御座いません」
「そうっすか、了解した。それで現地はどうする?室長に代わって欲しい」
キョウが顔を出した。
「何か?」
「そこで現地採取した分析結果は、十分だと思うがどうかな?」
「十分・・何を持って十分だと言えようか」
キョウが呟いた。
「眼と鼻と耳・・五感全てで現地を体感し、そして実際にある周囲の物を採取し、お前達は不満足と言うかも知れないが、それは十分な結果だと思う。よって、それ以上その不明な恐竜達の移住空間に居る必要性は無いと言う事さ。他に何がやりたい?逆に聞く」
「何を・・って、思いつかないな、急に言われてもさ」
「だろう?だから、こっちで分析をしてくれよ、そう言う事だ。お前達はそれぞれの分野は違えど、分析の第一人者ばかりだ。器具のある本部でやるのが常道だろう?現地調査はその為の実際を体現する為の派遣だった。そこに異議ある者は聞こうか」
「いや・・全く無い」
「それでは、全員機乗!ただちに帰還だ」
シンは号令後、機材を積み込ませると、先頭と後尾に護衛MR数機を飛ばせて、一気に2チームの帰還命令を出したのであった。そして、今度はダンから連絡が入った。まるで秒単位のような指令と報告の連続である。




