第11章 次々と・・
「今俺も一緒に見たっすけど、ラン班長。何時の間にあれをそんなに改造してたんすか?一度俺にも相談があったから、外付けの超音波発生装置の話をしたんすけど、現実にやっちゃったんすね。余りにも素早いじゃないですかあ」
「あ・・それは、主査の所の実験の時にやったからさ、実際にその装置はあったんだよ。それは単なる装着に過ぎない事さ。ただ、実験と言うか、それなりの試射はやったさ。カムイ副班長、お前もそうだろ?それに、エイジ副班長も、ソードを既に使っているじゃないか。その時、お前は専門家だろう?立派な分析器を持っているんなら、A国でも必要かも知れないけど、室長の所に予備は無いのかよ、送ってやれよ、手配して」
「あ・・そっちにも必要っすか?成分分析と鉱物分析は似ているけど、機械自体は違うし、それに実体双眼鏡も必要だし」
「デジタルの旧式のものだろ?そんなものは、持って行っているそうだが、今回はその為に細かくパウダー状にしないといけなかったんだよ。手間をとらせやがってさ。と言うのも、鉱物なら、そのまま実体顕微鏡で判明出来ただろうが、砕くと周辺の土壌とか土壌菌とか、色んなものが混入しちまうだろ?」
「だから、周辺の土壌やら、ゼニゴケやら、他のサンプルも送ったんすね。ははあ、成程。何で何度も調査しているのに、そんな無駄をやっているのかと思ったです」
エイジは実に論理的だ。無駄な事は、労力の無駄と割り切れるよう性格なので、ランの言う事を理解したようだ。
「多分、もうその辺の機種から送っていると思うっすが、何しろ、凶暴なあれっしょ?肉食恐竜系?のような住処だから、あんまり長居も出来ないんじゃないっすかね。幾ら防御壁をしているとはいえ、8頭でしたか、一度に襲って来たらやばいっすもんね」
カムイは戦略家だ。その辺はランと同じ思考で言う。ランは頷きながら、
「まあ、そう言う事だ。俺も思ったが、確かに時間をかけて分析出来るものを現地調査でやる意味があるって言う訳だ。で?補佐、ここに留まっているのは、首班の待機命令かい?でも、これじゃあ、俺が来た意味がねえじゃんかよ?」
「それは俺に言われてもさ。待っているしか無いじゃないか、実際の所。だって、その生体の正体が不明のままでは、危険が伴う。ランもそうだが、今回はそんな命がけの探索なのか?それはそう言う何時も気構えで望んでいるのは分かるが、お前のように戦術的に考えている訳にゃいかねえよ」
「ありゃ・・またまた一本返しだ。はは・・待つよ、俺もそこはな。分析も必要だろうし、現状把握も必要だ。データベースを全員でチェックしようじゃないか、それじゃあな」
彼らは、データベースをチェックし始めた。そうだ、それこそが本来自分達だけでは無く、彼ら幹部だけに解除されているシークレット情報なのだ。その自覚を持って、今すべき事を共有すると言う、これはチーム別なんかじゃない。全員一丸とならねば解決出来ないミッションだったのである。ようやく彼らがシンの考えを理解した事になる。それでも、シンは押し付けはしなかった。それぞれのチームが、何かの結果を出してくれれば良いと思っていた程度だから、それだけプレッシャーを掛けていた訳では無いし、行動して即結果がついて来る類のものでは無い。人類滅亡か、復活の光が射すのかの瀬戸際であり、第一、ここまで他国の人類に出会っても居ないのだから。出会うのは得体の知れない動植物群が僅かに見られるだけであり、そして殆どが荒涼たる砂漠化の現状だ。
同じ場所に彼らは滞在し、3日目になった。
そして、シン達は湖底付近でコウタ達のMSI潜水兼用機の横を通り抜けた何者かの正体がより鮮明になり、そこで確認をしたのであった。




