第11章 次々と・・
「あ・・ああ・・でも、どうしてそれを?」
ランは正直な人間だ。腹に何も隠し事もない。が、それはシンに余計に突っ込まれる羽目になるのである。
「あはは・・公に今なっては困るって言うのか。大丈夫だ、俺が認可したんだからな、その開発をここで活かせろ、ラン」
「だ・・だから何を?」
まるでランにはやる事が見えない。見えているのはシンだけだ。キョウも何なんだと首を傾げている。
「そこにあるだろ?黒い岩石さ。お前なら、その岩石がどの程度のレーザー光圧で砕けるか分かって居る筈だ。だってそうだろ?A国はそれで月の鉱山の鉱石を採掘していたんだからな、いや・・A国のアリゾナ州においてもだ。だろ?」
「そうか・・」
ケンシンは、やっとシンの狙いが分かったのである。その黒い岩石が何故ここに沢山あるのか、そこに着目しているのだ。そして、シンがランを急遽こちらに再移動させた目的も、はっきり分った。キョウが、
「成程・・そうか、何だよ・・隊長のチームに居たお前がこっちに来るとは驚いたが、その改良までやってのけているのなら心強い。生憎生物的な分析器しか持って来ていないものの、粉になれば、あらゆる地球上の元素までは分析可能だ。塊のままやっても、生体用分析器での結果は厳しいものからなあ」
「ふうん・・やっとやる事が分かったが、じゃあ、本部からもっと鉱物用の機器を運んでくりゃ良いのによ」
ランが首を傾げる。1時間もすれば十分そんな機器を運べるじゃないかと言いたいのである。今すぐにやらねばならない事かよと思った。しかし、それがシンの思いやり、ランに対する擁護策でもあるのに、鈍い人だ・・ケンシンは苦笑している。シンが、
「おら・・つべこべ言っていないで、さっさとやれや。俺はそっちばっかり構っていられないんだよ、他のミッションにも注視しなきゃならないんだ。その場で即断即決さ。研究する為に派遣しているんじゃねえぞ」
「分かったよ・・で?室長、どの程度に砕きゃ良い?この岩石の密度とか硬度とか、そんなものが全く不明な状態で、レーザーの光圧をいきなりセットも出来やしねえんだからさ」
「と・・言う事は、色々操作出来るって言う事じゃねえか、それにな、ラン。言葉を返すようだが、それこそこの場で望む試料になってくれていれば、本部にMRで送れる。優秀なスタッフが総出で、あっと言う間に細かい分析をしてくれるさ。手間が省けるだろうし、それに舐めるなよ、俺達を。何のためにミナミ、タナベ、アイカまでここに来ていると思うんだよ」
「そうか・・いや、そうだったな」
ランも頷き、




