第11章 次々と・・
「現地分析ですけど、今の成分分析機でやれますか?」
「岩石でしたら、鉱物専用の機器が必要ですね、持って行っているのは、主に植物や栄養素を測れる機種ですし・・」
「例えば、砕いて粉になればどうでしょう」
「それならば、可能でしょう」
「分かりました。すぐ」
「え・・?」
すぐとはどう言う事だ。シンは、何と地底湖に向かわせていたランを、自動操舵の方向を切り替えて、知らぬ間にキョウ達の空間に誘導していたのである。
「え!」「何でラン班長が?」
ラン自身も驚いていた。地底湖に向かう筈じゃ無かったのかよと思っていたので、口を開けたままだ。
「え・・ここって・・」
「おい、ラン、ぽけっとしているんじゃねえぞ、お前はそのレーザー銃を隠れて持参したからにゃ、勿論調査目的なんだよな」
「え・あ・・もちろんだ」
ふ・・ケンシンは含み笑いをした。これは、ランの名誉挽回の機会を与えてやろうと言う場面を演出したのだろう。災い転じて福と成す。ランは間違いなく規律違反を犯した。幾ら親友と雖も、シンは厳しい査定をしなければならなかっただろう。地底湖に向かわせたのもそこにある。だが、それよりも先に重要だと思える事案が、ここにあると見たのだろう。ランは、
「で・・俺に何をさせようと言うんだよ」
「決まっているじゃないか、武器として携行したんじゃないから、有効にそのレーザーを使えるように呼んだんだよ。お前がレーザー銃を改造している事を知らない俺じゃないぜ?段階的にそのレーザーの光圧は変えれるんだよな?」
ケンシンが、シンのその時底知れぬ程の才覚、に思わず身震いした程だった。先ほどのランの罰則にも等しいレーザー銃の所持を暴き、且つ即そのミッションから外しながらも、このキョウ達のミッションに、更に方向を変更させたのだ。そして、更にランの失態を責めながらも、これが改造レーザーだったとし、有効活用する為に持参したのだと完全にその事実すらも、ラン有利に変えたのだ。当然ランは、シンの言葉に反論する機会は与えられなかった。他の者も、それがそう言う事ならば、誰もランを咎める事も出来ない。その上で彼は、このシンの要請に答えなければならないのである。




