第11章 次々と・・
「ここ・・停止しましたが、拡大出来ますかね。そして、10秒前からコマ送りで1枚ずつ見る事は可能っすか?」
「え・・ええ。大丈夫です。可能です」
ケンシンは、むしろこっちらのプロフェッショナルだ。それは容易に操作を行ったのである。拡大する画像は数百枚になるが、コマ送りによって、その展開を早めたりゆっくりしたり、自在にそれは行われる。すると、MSI潜水兼用機のライトに少し遠目だが、進行方向左から、黒い物体が映ったのである。
「え!これは・・物体では無いですね、動いている・・」
ケンシンも、その画像を見てやっとその存在に気づいたのであった。そこはやはりリンと同程度とまでは言わないが、シンの動体視力が見逃さなかったと言える。それを言えば、コウタも同じくらいの動体視力を持っている事になるのだ。いや、もしかしたら、カムイなのかも知れないと思いながら、シン達はその正体を確認する為、写っている全ての画像を繋ぎ合わせた画面を再び編集して見る事になった。
すると・・おぼろげながらその一部が見えて来たのだった。
「お・・画像は、今映し出せるピクセルのこれが限界なんすよね」
「ええ・・時間を貰えれば、画像のドットを加工すればある程度鮮明になりますが、今はその時間がありません」
「了解っす・・何か長ひょろい生き物っすね・・これは。それもかなりでかい」
とにかく一瞬で横切ったであろう、この生体が何であるかの判別は出来ないが、とにかくこの地下湖に居たと言う事だ。初めて現地調査で確認出来た事に驚きながら、大きいと言う事と長いのは分かった。後は待機させてあるコウタ達にどう指示するかだが、シンの決断は早かった。
「補佐・・急浮上しろ、灯りはつけなくても構わない垂直に300Mだが、少し水中なので、Gが掛かるだろうが、20秒程だから息でも止めておけや、ははは」
「了解・・でも、くそ・・笑ってやがるぜ、首班はよ」
コウタが言うと、エイジ、カムイも苦笑い。それこそシンが、急浮上の指示と言う緊急避難の緊張を緩和させる一流の気遣いである事が分かるからだ。そのシンの指示の中には、ぐるっと周囲を360度照らしてMR10機が護衛する形で同時に浮上している事も忘れてはならない。その判断を一瞬で下せるから、シンなのだ。ケンシンも、その判断力はやはり流石だなと感心していた。無事湖面に浮上したコウタ達は、そのまま、マコト達と合流せよと指令が下った。それはもう自動操縦だ。シン達がもう切り替えていて、今度はマコトを呼び出した。




