第11章 次々と・・
この日、シンは出発するマコト、ラン、ケンに訓示していた。
「良いか!この先陣は隊長を先頭に、重要なミッションとなる。目指す地点はM国地底湖の東だ、くれぐれもそこで勝手な判断で行動してはならない。調査した場所に野営の基地を構築するのが目的だ。補佐の所からは、エイタ、サナギの研究主任を同行させる。十分に、慎重に、正確に構築してくれ!」
「おう!」
マコトが大声を発すると、それぞれがMSI飛機でM国まで3機に分乗し、飛び立った。既に地底湖を発見して、I国と旧T国と争った係争地の境界に日本で言う所の諏訪湖規模の大きな地底湖がある事が確認されており、地下水路も探ったが、流れが早く危険でもある事から、陸路が開通したのである。その構築には、当然、ウテン・サテン班長とその掘削班が行い、延長5キロの斜坑が傾斜角5度の正確さで構築されていた。既に地上での入り口は完成したのであった。それだけ大規模な事を行っているのである。このミッションがとても大きなものである事は明白だ。シンは次に又チームを集合させた。
「今しがた地底湖基地構築のために、5名が出発した。後方を支援、護衛し、また周辺空域には10機のMRを常にアイカ主任にデジタル管理を任せている。キョウ班長、準備はどうだ?」
この呼び出しにはキョウ他、ケンシン部長配下のミナミ、タナベ主任が呼ばれていた。組み合わせはシンが指名したのだった。
「どうにか間に合ったと言うか、準備は出来ていたが、ミナミ、タナベにはシミュレーションをもう100回程やった。何とか、アバターを使うものの、何重にも安全策は施してある」
「そうか・・準備は幾ら期間があっても良いと言ったが、間に合わせてくれたんだな、室長、ミナミ・タナベ主任もよろしくサポートを頼むぞ」
「はいっ!」
以前優秀な成績で試験をパスした5人の中の二人だ。マルチな才能を示してもう2人とも主任まで上がって来た、以前シンとM国へ同行したアイカと同じ試験合格者の一人だが、彼らは頭角を現して来ているのであった。
キョウが実際に何をやるのかは、現段階では分からない。あの会議後、急速にM国探索が進展しているのである。何があったのか、何を探ろうとしているのかは、この後の次々とシンが指名して行く中から、少しずつ見えて来る。
次の班の長が呼ばれた。コウタである。




